「首下がり症候群」をご存じですか? 高齢女性に多い頭が前方に垂れ下がる疾患
首下がり症候群の治療法は?
編集部: 首下がり症候群の治療にはどんなものがありますか? 石井先生: 大きく分けると、装具療法やリハビリテーションなどの保存療法と、手術療法に分けられます。基本的には、まずは保存療法が選択されます。 首をまっすぐ前を向いた状態に保持する装具を作成したり、首まわりの筋力トレーニングや首を含む背骨の柔軟性改善運動などのリハビリテーションをしたりするのが効果的です。 たとえば当院では、首下がり症候群に特異的に有効なリハビリプログラムを開発し、実践しています。 編集部: 手術療法についても教えてください。 石井先生: 経過観察や保存療法を行っても改善が見込めず、通常の生活に大きな支障がある場合には手術が検討されます。一般的には首の後ろを切開して、首の骨(頸椎)にインプラントを設置し、矯正固定をします。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。 石井先生: 首下がり症候群は比較的新しい疾患であるため、病態は完全には解明されておりません。ただし、早期に適切な治療を受けることで、症状の重症化や手術治療を回避できる可能性があります。 したがって、首下がり症候群を疑うような症状がある方は、悩みを抱え込まず、「首下がり症候群」の診療経験のある専門医を受診し、適切な検査や診断を受けることをお勧めします。
編集部まとめ
首下がり症候群では、首または背中が前方に折れ曲がることで、前方注視障害や嚥下障害、開口障害なども出てきてしまうということでした。 早期に専門医に相談すれば、手術ではなくリハビリでの症状軽減も期待できますので、思い当たる症状のある人は「首下がり症候群」に対応しているお近くの医療機関を探してみてはいかがでしょうか。
【この記事の監修医師】 石井 賢 先生(New Spineクリニック東京) 慶應義塾大学医学部卒業。アメリカ ジョージタウン大学とハーバード大学に留学後、慶應義塾大学整形外科専任講師と国際医療福祉大学整形外科初代主任教授、同大三田病院・成田病院副院長・脊椎センター長、慶應義塾大学整形外科特任教授を経て、2023年より現職。日本専門医機構整形外科専門医、日本整形外科学会(JOA) 日本整形外科専門医・脊椎脊髄病医・脊椎内視鏡下手術・技術認定医・リウマチ専門医、日本脊椎脊髄病学会(JSSR)脊椎脊髄外科専門医・脊椎脊髄外科指導医、臨床修練指導医、難病指定医。
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