9年目の大アプデで一層楽しい! マツダ・ロードスターへ英国試乗 新LSDとトラック・モード獲得
9年目の大アップデート 新LSD採用
多くの仲間が、グレートブリテン島から姿を消してしまった。フォード・フィエスタ STも、ルノー・メガーヌ R.S.も。アルピーヌA110にトヨタGR86、ポルシェ718ケイマンとボクスターはまだ生き残っているが、安全規制の強化で排除される日は遠くない。 【写真】9年目の大アップデートで一層楽しい! マツダ・ロードスター 小さなドライバーズカーたち アイコニックSPも (116枚) しかし、マツダMX-5(ロードスター)は、素知らぬ顔で英国の道を駆け回っているように見える。2018年以来となる大きなアップデートを受け、この土地のショールームを賑わせているからだ。 現行の4代目、ND型は登場から9年が経過した。先代までと同様に、時代を超越した魅力を維持しているが、そろそろフェイスリフトのタイミングだと判断されたのだろう。 見た目では、フロントとリアのライトが僅かに変更された。新しいデザインのアルミホイールも導入されている。これは、定石の内容といっていいだろう。 それ以上に興味深いのが、シャシーへ受けた変更。ステアリングラックは内部抵抗を減らし、一層な滑らかで自然な反応を引き出したとか。 2.0LエンジンのMX-5には、新しいリミテッドスリップ・デフ(LSD)も組まれた。ロック率は、加速時と減速時で異なるという優れものだ。 ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)には、トラック(サーキット)・モードを設定。完全にオフにすることなく、積極的に駆け回れるようになっている。
公道を思い切り走るのに有効なトラック・モード
車内を見渡すと、ダッシュボードに8.8インチのモニターが与えられたのがわかる。マツダ最新のシステムが実装され、グラフィックはモダンになった。ロータリー・コントローラーは、センターコンソールに残っている。 メーターパネルのアナログメーターは、僅かにデザインが変わった。USB-Cポートも用意された。英国仕様のホムラ・グレードを選ぶと、レカロシートが組まれる。座り心地が良く、横方向のサポート性に優れる。 それでは、早速一般道へ出てみよう。マツダによると、トラック・モードは、初めてサーキットを走行するドライバーを念頭に調整したという。筆者が試してみた限り、腕利きのドライバーが公道を思い切り走るような場面でも、非常に有効だろうと感じた。 後輪駆動の軽いマシンを自ら操っている、という感覚はそのままに、万が一を恐れる必要が減る。ドリフトアングルが深すぎると感知されると、急激に制御されるわけではなく、僅かにパワーを絞って穏やかなテールスライドが維持される。 スムーズさとダイレクトさを増したというステアリングラックは、正直なところ変化を実感できなかった。試乗日が土砂降りの雨だったことも、影響していた可能性は高い。 新しいLSDも、明らかにMX-5の挙動を変えたとはいえないだろう。それでも、トヨタGR86のように、より自在にリアを振り回せるようになった印象はある。