与党?野党?国民民主が「等距離外交」 新たな「ゆ党」像示し「価値」維持図る
国民民主党が与野党と「等距離外交」を進めている。衆院選で掲げた「手取りを増やす」政策の実現を目指すために自民、公明両党との案件ごとの政策協議で合意する一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を踏まえた政治改革、国会改革などでは立憲民主党や日本維新の会にも歩み寄る。「政策本位」で他党と付き合いながら党の政策を実現し、来夏の参院選での飛躍を期す狙いだ。 国民民主の榛葉賀津也、公明の西田実仁両幹事長は1日、国会内で会談し、案件ごとに政策協議を進めることを確認した。国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」の引き上げを最優先事項に掲げており、西田氏は「国公」の枠組みを軸に検討チームの設置を提案した。 約25分間の会談は終始、和やかな雰囲気で行われたという。公明関係者は「国民民主の勢いを使い、これまで自民側が難色を示してきた政策を実現する良い機会だ」と話す。 衆院選で与党が過半数割れとなり、国民民主の「価値」は急騰した。政府・与党が国会で予算案や重要法案などを確実に成立させるには国民民主に頼るしかないからだ。 国民民主は自民とも政策協議を進めることで合意した一方、立民とも政治改革や国会改革で協力することを確認。維新とも近く話し合う方針だ。各省庁の幹部も「うちの考え方は国民民主のマニフェスト(政権公約)と同じなんです」などと〝国民民主詣で〟を始めた。 とはいえ、国民民主は衆院では28議席の少数野党に過ぎず、参院では与党が過半数を握る。政策実現のために与党側に利用されて独自色を失い、消滅した政党は少なくない。国民民主が来夏の参院選を見据えて独自色を発揮するには、各党と「等距離」を演出して存在感を維持する以外にないのが実情だ。 国民民主幹部は目指す政党像について、「例えば、自民が政治改革法案で生ぬるい法案を提出してきたら、野党として徹底的に戦う。政策を実現するためには与党とも野党とも是々非々をやる。極めてまっとうな野党になるということだ」と説明した。(千田恒弥)