産地偽装された幻の「間人カニ」 1匹10万円超、新タグ導入「見える化」で信頼回復
京都府漁業協同組合は5月、有識者らでつくる「ブランド適正化協議会」を立ち上げた。
再発防止策として府漁協が進めたのが、2次元コードによる見える化だ。ズワイガニ漁を行う府内の舞鶴(舞鶴市)、間人、網野(京丹後市)の3漁港10隻に、水揚げされたズワイガニの脚に新たに白色のタグを付けることを義務づけた。タグにある2次元コードを読み取ると、消費者は「いつ、どこで、誰が獲ったか」を知ることができるようになった。
またタグの使用数と漁獲量を一致させるため、競り前に漁協職員がカニの数をチェックし、タグの有無を確認する取り組みも始めた。府漁協組織部の浜中貴志部長は「消費者の不信感を払拭する必要がある。事件後、限られた時間の中でやれることはやってきた。今後も取り組みを進めたい」と強調する。
協議会では間人ブランドをさらに高める方策についても議論があった。具体的には「2次元コードに動画や漁業者からのコメントをつけてはどうか」などとの意見も上がったという。
産地ブランドをどう守り、発信していくべきなのか。鹿児島大水産学部の鳥居享司准教授(水産経済学)は「信用の積み重ねがブランドにつながる。漁業者や流通業者など、消費者に届くまでに関わる全員がブランドを育てるという意識を持つことが大切だ」と話した。(入沢亮輔)