鹿児島県 「夢の実現」語る 銀座もとじ創業者 泉二弘明氏 母校・大勝小で
2025年2月に創立150周年となる龍郷町の大勝小学校(徳永由美子校長、児童139人)は11日、同校の卒業生で、東京・銀座の呉服店「銀座もとじ」の創業者(現会長)泉二弘明(もとじ・こうめい)氏(74)を講師に招き、記念講演会を開いた。泉二氏は児童らに、「夢は必ずかなう。自分を信じ、諦めず思い続けてほしい」と語り掛けた。保護者や地元住民なども参加し、約200人が耳を傾けた。 泉二氏は1949年、同町中勝生まれ、62年に同校を卒業した。同小には歩いて1時間かけて通い、走ることと相撲をとることが好きな少年だったと振り返った。 64年の東京オリンピックをテレビで見て、「将来はマラソン選手になりたい」と思い描くようになり、名瀬市(当時)の大島実業高校(奄美高校の前身)に進学し陸上部に入った。寮生活を送った1年生の時、父親が急死。母親を思い片道23㌔を走って実家に帰る週末を送ったという。 この頃の夢は「箱根駅伝を走ること」。大学進学で上京し練習を重ねたが、けがで挫折。「一時、車いす生活となり夢を失った」と話した。
転機は、父の形見の大島紬の着物。袖を通すと、「着物にかけてみたらどうだ」と語り掛けられたと感じ、「日本一のきもの屋になる」という新たな夢を見つけたという。 29歳までに300万円ため、30歳で独立、50歳で日本初の男の着物専門店を出す。目標達成のための計画(目標達成シート)は具体的に立てた。 夢を実現するためには、時間を有効的に使うことが大事だとも語った。「時間は全員に平等に与えられている。どう使うかで夢にたどり着けるかが決まる」と諭すように話した。 5年の窪田椛那(もな)さん(11)は「挫折から2個目の夢を見つけ実現したと聞き、諦めずに頑張ろうと思った。私の夢は理学療法士。勉強して大学に入って夢をかなえたい」と話した。 講演後、感銘を受けたと校長室を訪ねてきた3年の福本花楓(かえで)さん(8)、平咲穂(さほ)さん(8)は「先生(泉二氏)と握手したかった。夢はかなうと分かった」と話し、言葉を交わし続けていた。