都知事選「小池VS蓮舫」の“頂上決戦”という大勝負 女性総理候補が激突「200万票台の競り合い」に
これに対し小池氏は、2020年の前回都知事選では366万票超の記録的大勝。初出馬で、自民も含め各党が有力候補を擁立した2016年選挙でも約291万票を獲得、2位の自民支持候補に100万票以上の大差で圧勝している。しかも、最新の世論調査でも都民の5割以上が「小池都政を評価」しており、「どんなに逆風が吹いても、200万票を下回る事態は想定できない」(同)との見方が支配的だ。 ■過去に例のない「200万票台の大勝負」に
過去の都知事選の「数字的構造」からみても、東京の有権者は約1100万人で、投票率50%と仮定すれば、総投票数は550万。その場合、小池、蓮舫両氏を除く今回予想される候補者の顔ぶれからみて、「その他候補の得票総数は100万票前後」(同)となることが想定される。とすれば、「小池、蓮舫両氏は450万票を取り合うことになり、まさに200万票台の大勝負」(同)となるわけだ。 そこで問題となるのが、小池、蓮舫両氏がそれぞれ抱える「負の要因」の影響。まず、小池氏については前回も大きな話題となった「カイロ大卒」を巡る学歴詐称疑惑。今回も月刊『文藝春秋』が5月号で、元小池氏側近で都民ファーストの事務局も仕切ってきた人物と小池氏のエジプト留学時代の同居人女性の「実名告発」を掲載、疑惑が再燃したが、「その内容は、これまで以上に信憑性が高い」(政治ジャーナリスト)とみられている。
この点については、蓮舫氏の出馬会見でも「小池氏の疑惑をどう見ているか」との質問が相次いだが、蓮舫氏は「報道内容はすべて読んだが、まずはご本人(小池氏)が説明すべきだ」と繰り返した。もちろん、同氏周辺は「候補者討論で、厳しく追及する」としており、日本記者クラブや各テレビ局、さらには関係団体主催の候補者討論会でのメインテーマとなることは確実だ。 その一方で、蓮舫氏も過去に「二重国籍」疑惑で追及された経緯もある。同氏陣営は「すでに決着した問題」(立憲幹部)と胸を張るが、最近急拡大し、選挙戦にも一定の影響を及ぼすとみられているSNSでも「学歴詐称疑惑と二重国籍疑惑の対決」などの口さがない書き込みも目立つ。
■SNSには「緑のタヌキと白いキツネ」の書き込みも 蓮舫氏は出馬会見にトレードマークの白のスーツに黒のインナーで登場した。一方の小池氏はこれまで通り「緑」をメインとしたいでたちで選挙戦に臨むとみられる。これについてSNSでは、有名な食品コマーシャルをもじって「今回は緑のタヌキと白いキツネ」と揶揄する書き込みが目立つ。 まさに、「小池が勝か蓮舫が勝つかで、関係者だけでなく都民の多くが手に汗を握る戦い」(閣僚経験者)になりそうだ。ただ、冷静な有権者の間では「派手なアピール合戦やけなし合いより、都政の今後の在り方について地に足の着いた政策論争をしてほしい」との切実な声も広がっている。
泉 宏 :政治ジャーナリスト