事前告知はなくサプライズで配信、任天堂が「Switch Online」加入者限定で音楽サブスクを開始した狙いとは?
2024年10月31日、スマホ向けアプリ「Nintendo Music」が配信された。「スーパーマリオ」や「ゼルダの伝説」、「ポケモン」、「どうぶつの森」など、任天堂に関連するゲームのBGMを聴けるアプリだ。 【写真で見る】Nintendo Musicのラインナップ。新旧タイトルだけでなく、メニュー画面の曲などマニアックなものまで 事前告知などもなく、サプライズで配信されたため、驚いた人も少なくなかった。中身を見れば、さらなる意外性のあるものだった。 ■濃いファン向けの要素もたっぷり Nintendo Musicは、昨今では当たり前となったいわゆる“サブスク”サービスに該当する。ただ、このサービス単体で料金を取るわけではない。Nintendo Switch専用のオンラインサービス「Nintendo Switch Online」に含まれるコンテンツだ。
Nintendo Switch Onlineの加入者は、オンラインでフレンドと一緒にゲームを遊んだり、大量のレトロゲームを楽しめる。それらに加え、スマホで任天堂の音楽も楽しめるようになったわけだ。 しかも、Nintendo Switch Onlineは月額200円~300円程度の価格だ。音楽サービスだけを受けるために加入したとしても、非常に安い部類といえる。 楽曲は初代「スーパーマリオブラザーズ」から、最新作スプラトゥーン3までそろっている。曲数は順次、追加予定という。
サントラに約10万円のプレミア価格が付いた「スーパーマリオ ヨッシーアイランド」の楽曲が収録されているほか、同じくサントラが約29万円まで高騰した「スーパードンキーコング2」の曲も追加予定だ。 再生時は楽曲のシチュエーションに合わせたグラフィックが表示されるほか、曲を一定時間まで自動でループさせる「ながさチェンジ」、音楽からゲーム内容がわかってしまうようなタイトルには、ネタバレ防止機能まで用意されている。
穏やかな雰囲気、ボス戦、あるいはキャラクターごとなど、ジャンル別再生機能も充実している。ほかのサブスクサービスとは違う体験を楽しめるというわけだ。 ■アカウントの重要性を上げる独自の一手 任天堂のゲームは、サントラがそもそも発売されなかったり、出ていてもプレミア価格で手が届かないことがあった。それを不満とする声も上がっていた。 サントラは出したからといって必ずヒットするわけではないし、時代はサブスクである。Nintendo Musicは、ゲームファンの不満を解消しつつ、任天堂が持つ重要な資産をうまく活用したといえる。