事前告知はなくサプライズで配信、任天堂が「Switch Online」加入者限定で音楽サブスクを開始した狙いとは?
単なるサブスク解禁ではなく、自社サービスとして展開したところが任天堂らしい。前述のようにゲーム音楽ならではの要素があり、こだわりを感じる。 こうした贅沢な仕様は、任天堂のゲームをオンライン上で買ったり、オンラインサービスで遊ぶときに必要な「ニンテンドーアカウント」の重要性を上げる狙いもあるだろう。 常時接続が当たり前になってから、家庭用ゲーム機においても、各人それぞれがアカウントを持つようになった。任天堂は他社と比較するとやや出遅れていたが、現在はサービスを充実させてきた。
ニンテンドーアカウントでは、所持しているゲームの情報以外に、「NINTENDO TOKYO」などのグッズショップでGPSチェックインして特典をもらえる仕組みもある。 ■ニンテンドーアカウントの価値を上げる フレンドリスト、ゲームのプレイ時間など、アカウントに情報が溜まれば溜まるほど、その重要度は増す。ユーザーにも必然的に帰属意識が生まれてくる。 PCゲーム販売プラットフォームの最大手Steamは、ゲームを売るだけでなくコミュニティ要素を重視している。アカウントの重要性は高く、遊ぶ目的ではなく、ライブラリを充実させるためにゲームを購入する人もいるくらいだ。
PlayStationもXboxも、「トロフィー」や「実績」というシステムがある。これはゲームを遊ぶ上で条件を満たすと獲得できるもので、いわば勲章のようなものだ。こういうシステムがあると、そのハードへの帰属意識が高まり、同じゲーム機で遊ばれ続けるわけだ。 任天堂もゲーム音楽のサブスクといった独自の手法で、ニンテンドーアカウントの価値を上げようとしている。サブスクの継続契約に繋がると同時に、次世代機でも任天堂のゲーム機が選ばれる可能性へと繋がっていくだろう。
渡邉 卓也 :ゲームライター