車いすで30人が同じ目線に 旭川で「立たない立ち飲みバル」
車いす利用者もそうでない人も、全員が車いすに座り、同じ目線で飲食を楽しむ「立たない立ち飲みバル」が7日、北海道内で初めて旭川市に「開店」した。 発案者は、5歳で横断性脊髄(せきずい)炎を発症し、車いす生活を送る大阪市の牧野美保さん(36)。「車いす女子」としてSNS(ネット交流サービス)で情報発信している。 お酒が好きな牧野さんが「立ち飲み」の店に入った時、移動しづらかったり、カウンターの位置が高くて飲食しづらかったりと不便さを感じた。「同じ目線になれば、みんな楽しめるんじゃないか」と2022年に大阪市で初めてこのバルを開いた。 徳島、沖縄両県に次ぐ4カ所目となる今回は、障害者が自ら参画し、誰もが暮らしやすい共生のまちづくりに取り組む旭川市のNPO法人「カムイ大雪バリアフリー研究所」が、親交のある牧野さんの取り組みに賛同して主催。共催の森山病院に併設された健康食レストランが会場になった。 約30人の参加者の多くは、普段車いすを使っておらず、病院から貸し出された車いすに乗り、移動や方向転換が難しいことを実感しつつ、同じ目線で飲食と交流を楽しんだ。牧野さんは「いろいろな場所にバルが広がり、人のつながりを実感している」と喜んだ。1日限りの開店だったが、富良野市の小学校教諭、黒滝裕子さん(54)は「実際に乗ってみないと分からないことがあった。障害に関係なくみんなで集まれる場を、自分も作れれば」と話した。【横田信行】