世界選手権前に「引退」を決めていた宇野昌磨。「現役をつなぎとめていた」ステファン・ランビエールの存在
笑顔で終えた、世界選手権
迎えた世界選手権は、宇野、鍵山優真、イリア・マリニン、アダム・シャオ イム ファと、300点超えが4人も出場する史上最強の争いとなった。 ショートで今季世界最高得点をマークし、首位発進した宇野からは、ガッツポーズも飛び出した。 しかしフリーでは珍しくミスが重なり4位に。それでも研ぎ澄まされたプログラムで会場を包み、温かい拍手が送られた。 フリー直後、宇野は「今日までの練習に悔いはない」「僕らしい。大舞台で素晴らしい演技を、と妄想もありましたが、うまくいかないのが過去の自分を振り返っても多かった。今日まで頑張ってきてよかった」「清々しいです」と演技を振り返った。 後悔がない日々を送ってきたからこその言葉だったのかもしれない。 現役ラストのシーズンは「自己満足」を掲げて挑み、世界選手権を前にしたときには「世界選手権が終わった瞬間や1つ1つの試合が終わったあとに笑顔でいてほしい」と話していた宇野。 そして、5月の引退会見では現役生活を振り返り、「昔は練習した分だけ試合でできなかった時に悔しいというか、落ち込んだりしていた。 21年間フィギュアスケートをやってきて、しっかり笑顔で終えられる選手になれたというのは、小さい頃に僕が“こうなりたいな”と思っていたスケーターに一歩でも近づけたんじゃないかな」と語った。 競技会からアイスショーへと変わったとしても、宇野はこれからも人々を魅了する演技を見せてくれるだろう。新たなステージに進む、宇野のこれからに期待しかない。
フィギュアスケート取材班