Amazon がジェネレーティブAIアプリの拡張と精度向上のためのツールの追加を発表
AIはなんでもできる?
こうしたAmazonの取り組みが示すように、AIモデルのプロバイダーたちはさまざまな方法で互いに競り合いながら、より簡単、より有用、そしてより正確なジェネレーティブAIツールの開発を試みている。 たとえば創業4年のAI新興企業であるライター(Writer)は7月中旬、同社AIプラットフォームのアップグレード版を公開した。同社はグラフベースのRAG(検索拡張生成)技術を採用しており、今回の新機能ではチャットアプリを開発する際に最大1000万ワードを分析するプロセスにこのRAGを組み込む新たな方法を紹介した。また、AIモデルが回答を生成した過程を説明する能力もアップデートされた。「説明可能なAIをめざす」ことは業界が直面する主要な課題のひとつでもある。さらに、ユーザーがドキュメントを処理する際、実行するタスクによって異なる「モード」を選択できる機能も追加された。 ライターでプロダクトマーケティング責任者を務めるディアナ・ドン氏は、ユーザーはブラックボックスから出てくる答えを当然のように信用するわけではないと説明する。またジェネレーティブAIは「魔法」のように見えるかもしれないが、それでも「すべての問題を解決する百発百中の魔法の弾丸ではない」とも付け加えた。 「我々はオープンエンドのプロンプトを用いる画一的なチャットアプリは、必ずしもユーザーにとって最良のアウトプットにつながらないことをすでに目にしている。多くの混乱があり、AIから適切な出力を引き出せるか否かはプロンプトを使いこなすユーザーの力量に大きく依存しているのが現状だ」。 AWSのエージェンシーパートナーであるメディアモンクス(Media.Monks)でエクスペリエンス担当シニアバイスプレジデントを務めるカーリ・デフィリポ氏は、AI導入における課題のひとつは、企業が自分たちに必要なもの、あるいは作りたいものを必ずしも分かっていないことだと語った。そのため何が可能であるかについてのより多くの事例が必要であると同時に、「AI関連の施策で何か問題が生じたらどうなってしまうのか」という企業側の不安も解消させる必要がある。 「クライアントと話をして準備が整っていないと分かれば、我々は何がなんでも進めるというやり方はしない。それは考えすぎて決められない、いわゆる分析麻痺のような状態だ。AIはやりたい、KPIも設定した、上司にもやれと追い詰められている。その反面で、彼らはまだ何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、正確には分かっていないように思われる。なぜなら、現状にはあまりに多くの選択肢があるからだ」。 [原文:Amazon adds tools for scaling generative AI applications ─ and improving accuracy issues] Marty Swant(翻訳:英じゅんこ、編集:都築成果)
編集部