公務員というだけで、住宅ローンの「金利優遇」があるって本当!? 一般の人よりも「140万円以上」お得なの? 金利優遇の理由について解説
3000万円の住宅ローンなら140万円も得
実際に3000万円の住宅ローンを35年間の返済期間で借りたときに、公務員と民間企業勤務者でどのくらい返済額に差が出るのか検証してみましょう。2024年2月現在の変動金利、固定金利それぞれで試算し、返済方法は元利金等返済とします。 <変動金利の場合> 三井住友銀行を例にとると、2024年2月の変動金利は、2024年2月現在0.475%~0.725%です。一般の人が0.725%で借り入れ、公務員が0.475%で借り入れた場合は図表1のような結果になります。 図表1
三井住友銀行の住宅ローン金利より計算し筆者作成 金利差は0.25%と小さく思えますが、35年積み重ねると返済額の差は約140万円にもなります。140万円あれば、中古車が購入できたり、保険料にもよりますが火災保険を30年分契約できたりします。ただし、変動金利の場合は半年に1度利率の見直しがあることに注意しましょう。 <固定金利の場合> 三井住友銀行が2024年2月に提示している35年固定金利は、年2.19%~3.09%です。民間企業勤務者が3.09%で借り入れ、公務員が2.19%で借り入れた場合は図表2のような結果になります。 図表2
三井住友銀行の住宅ローン金利より計算し筆者作成 35年固定金利の場合は、変動金利に比べて金利差が0.9%と大きく、35年間で生まれる返済額の差は約614万円です。614万円あれば車の購入費や子どもの進学費用にも充てられ、生活に余裕も生まれるでしょう。
まとめ
公務員は「雇用が安定している」「年収が比較的高く、月給や賞与カットのリスクが少ない」「退職金がある」という理由から、返済が滞るリスクが少ないため、住宅ローン金利が優遇されます。 たった0.25%の金利差でも、住宅の価格が3000万円で借入期間が35年なら140万円もの差になります。固定金利ではさらに差は広がり、0.9%の金利差で600万円以上も総返済額に差が出る結果となりました。 しかし、公務員は金利が優遇されるために借り入れ可能額が上がり、ハウスメーカーに勧められるままに想定以上の高額な住宅ローンを組んでしまうケースもあるかもしれません。金利が優遇されるのはうらやましい限りですが、自分の置かれた環境の中でお金やローンと上手に付き合っていくことが何よりも大切だといえます。 出典 人事院 令和5年国家公務員給与等実態調査の結果 総務省 令和4年度 地方公務員給与の実態 国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査 執筆者:古澤綾 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部