女優 奈緒さんが考える、保健体育では教わらない「性」の伝え方…大人になるからだを「どう受け止めるか」もっと知りたかった
スウェーデンの絵本に出会って
――原作では、美鈴が受け持ちの生徒の前で、性について話すシーンがあります。奈緒さんは、ご自分の学生時代にどのような性教育を受けられたらよかったですか。また今後、どんな性教育があったらいいと思いますか。 いろんなご家庭がある中で、私自身も自分の性について、家族とオープンに話せたかなと振り返ると、やはり難しかったですね。だからこそ、そのような場所があるといいなとすごく感じています。 ただ、学校と家庭では、性に対する伝え方が変わってくると思います。学校教育でいうと、子どもがどうやってできるのかなどは、保健体育のひとつの知識として教えられます。けれど正直それを教えられても、生徒はどういうふうに受け止めればいいのかまで、考えが及ばないかもしれません。だからそういった受け止め方について、もっと学べる場所があったらいいなと。 私の好きな本の中に『愛のほん』というスウェーデンの絵本があります。この本は人を愛することや、愛っていうのはこういうことだよというのが、かわいいイラストでわかりやすく伝えています。たとえば、おいしいものを誰かと分けあいたいと思うこと、これも愛。その先に、セックスといった行為がある。性行為というものを、温かいものとしてちゃんと描かれているんです。 だからこそ『愛のほん』のような絵本を、もしも幼い頃に読めていたら、セックスがそれほど触れにくいものではなかったのかなと思いましたね。成長の過程で優しさとか、愛情とか、そういうものが伴ったときに性行為が行われる。「それで、あなたたちも今、ここにいるんだよ」という伝え方をしてもらえたら、性に対する認識はすごく変わるのではないでしょうか。 私自身の『愛のほん』との出会いは大人になってからでしたが、それでも影響がすごく大きかったです。学校教育だと難しい部分もあるかもしれませんが、ご家庭でそういったことを教えてもらえる機会がたくさんあるといいですよね。一方で、自分が大人になって感じるのは、「ああ、私の親もどういうふうに伝えていいのか、困っていたんだろうな」ということです。お母さんやお父さんも、子どもに性をどう伝えるかを教えてもらえる機会が必要なんじゃないかなと。 私たちはみんな性とともに生きているのに、性について話したり、どう伝えるか学んだりする機会はまだまだ少ないのが現状です。そういったヒントを得られる場がこれからさらに生まれるといいなと思っています。 ---------- 映画『先生の白い噓』7月5日(金)全国劇場&3面ライブスクリーンにてロードショー 出演:奈緒 猪狩蒼弥 三吉彩花 田辺桃子 井上想良 小林涼子 森レイ子 吉田宗洋 板谷由夏 ベンガル/風間俊介 原作:鳥飼茜 「先生の白い嘘」(講談社「月刊モーニング・ツー」所載) 監督:三木康一郎 (『植物図鑑 運命の恋拾いました』『弱虫ペダル』『恋わずらいのエリー』) 脚本:安達奈緒子 (『劇場版 きのう何食べた? 』「おかえりモネ」) 音楽:コトリンゴ 主題歌:yama 「独白」 (ソニー・ミュージックレーベルズ) 配給:松竹ODS事業室 / イノベーション推進部 映倫区分:R15 公式HP:https://senseino-shiroiuso.jp ----------
横山 由希路(ライター・編集者)