【競技担当が注目】陸上・110mハードル泉谷駿介 "世界一のインターバル"を武器に日本史上初の快挙へ
◇小柄が武器に "世界一のインターバル"で決勝へ
身長175センチと、陸上選手としては小柄な泉谷選手。コロナ禍で開催された2021年の東京五輪、翌年の世界選手権は、外国の大きな選手らを相手に、勝負することができませんでした。それまで海外でのレース経験がほとんどなかったことも大きな要因。世界のトップ選手との差を感じ「気持ち的にも落ち込んだ」といいます。昨季以降は海外転戦を重ね、「自信がついた」ことで、体格の大きな海外選手ら相手に、物おじしない走りができるよう成長しました。 「(ハードルの)高さが自分の腰ぐらいあるのを、高く見えないように跳んでいくのが魅力」と語る泉谷選手。最大の武器は、ハードル間を細かく刻む、インターバルです。ハードル間の9.14mは3歩でいくのが主流で、いかにリズムよく、速いピッチで走るかが重要となります。小柄な泉谷選手はこのハードル間のインターバルの技術が非常に高く、指導する山崎コーチは、「世界一のインターバル」だと太鼓判を押します。 今年7月、パリ五輪と同じ会場で実施されたダイヤモンドリーグでは、ハードルに足をぶつけながらも、トップと0.01秒差の3位。そしてパリ五輪前最後の大会となった、日本での大会ではシーズンベストとなる13秒10をマーク。これは、東京五輪銅メダル相当の好タイムです。山崎コーチも、「今年のなかで一番いい調子。(ウエートトレーニングなどで)力がついた分、パワーもついて、加速や切り替えが力強い。外国人に近いような力も出せるようなところまできた」と評価しています。 「外国人がいようといまいと、自分のレースができる」と、3年前の不安も完全に払拭した泉谷選手。日本選手としては前人未到の12秒台にも期待が高まります。8月4日に予選、8日に準決勝、9日に決勝がおこなわれる男子110mハードル。「トップの海外選手と走って自分の力を出し切りたい」と話す泉谷選手が日本選手初の快挙となるか。世界を相手に勝負するハードリングにも注目です。