<福山潤>「狼と香辛料」新作で「一から演じる」望外のチャンス 15年前は「一番苦しかった」
約15年ぶりにホロ役の小清水さんの声を聞き、感じるものもあった。
「懐かしいとかそういう感じではなくて、小清水が15年たって提示するのは、こういうホロなのね、という。今回のホロの声を聞くと、小清水が15年前のこともすごく大切にしながらやっているのが分かるんです。では、今の小清水が演じるホロに対して、今の自分だったらこのぐらいの幅なら成り立つかな?とか。ちょっとずるいやり方なんですけど(笑い)。僕としては前作のロレンスを再現する気はないので」
新作ではロレンスとホロの旅が最初から、新たに描かれることになる。最後に福山さんに「狼と香辛料」に対する思いを聞いた。
「15年前は、原作があるアニメで言うと、関わった作品が物語の途中で終わることも当たり前だったんです。例えば『ジャンプ』作品であっても、連載中にアニメが始まるので、最後までアニメで描ける機会なんてほぼなかった。当時も『この後にもっともっと面白いエピソードがあるし、やりたいな』という思いはすごくあったんです。とはいえ、今は『それはそれで良かったよな』とも感じているんです。原作がアニメ化されて、アニメが終了しても、原作好きな人たちの間では、アニメの声でその後が読まれていく。それぞれの中で補完されて完結していくので、その面白さもあったよなと」
前作から年月がたち、自身の中で思いを消化しきったタイミングで、「狼と香辛料」の新作の話が舞い込んだという。
「だから、ちょっと組み直さないといけないなという(笑い)。こういう望外なチャンスをいただけたのならば、いい形で、改めてやってみたいと。当時のアニメの続きが見たいという人もいるかもしれないですが、今回新作を見て『続きがより見たくなった』に変わればいいなと思います。また、今回新しく作品に触れた方々が、原作を手に取って、映像表現と原作ならではの細かく描写されている部分の違いも楽しんでもらえたらいいなと。こういう形で作品を皆さんに提示できるというのは、僕らがいくら望んでもできないことだから、この機会を大切にしたいですよね」