カナダ国防費、NATO目標達成なら財政安定化ルール違反に=議会予算局
Promit Mukherjee [オタワ 30日 ロイター] - カナダは国防費を北大西洋条約機構(NATO)が加盟国の目標として掲げる国内総生産(GDP)比2%にするため、2032―33会計年度までに現在の2倍の規模に拡大する必要があるが、これは昨年トルドー政権が導入した財政安定化ルールに違反する恐れがある――。議会予算局が30日、こうした見解を示した。 トルドー首相は今年、米国や他のNATO加盟国からの圧力が強まる中で、国防費を最低でもGDPの2%に乗せることを正式に約束した。 一方政権に対しては歳出を抑える取り組みがなされていないとの批判が集まり、昨年になって2024―25年度から債務の対GDP比削減を開始し、26―27年度とそれ以降は財政赤字の対GDP比を1%未満に抑え続けるというルールを採用している。 議会予算局は、国防費増額は向こう数年で財政赤字の対GDP比抑制ルールに「大きな影響」を及ぼし、32―33年までに赤字比率がこのルールで定めた上限を超える可能性があると警告した。 国防省は29―30年度までに国防費はGDPの1.76%に達すると予想している。しかし議会予算局の見積もりでは、同年度までのGDP比は1.58%にとどまるという。 議会予算局によると、NATO目標実現に必要な国防費は819億カナダドル(588億7000万米ドル)で、24―25年度の410億カナダドルのほぼ2倍となる。