「外国人や若者が『歩行者が避けろ』という空気を出してくる」...批判殺到で事故急増中の「電動キックボード」の実態がヤバすぎる
欧米で先に普及→禁止の動きが広がっている理由
欧米で電動キックボードが普及している背景について、東海大学の鈴木美緒准教授(交通工学)が解説する。 「欧米人は日本人に比べて自転車に乗り慣れない人が多く、自転車の値段も日本より高い。なので、欧米では自転車は一般的な乗り物ではありません。ということで、自転車よりもっと気軽に乗れる電動キックボードが人気なのです」(鈴木氏、以下同) しかし、普及するにつれて欧米でも事故の増加や無謀運転、違法駐車などの苦情が殺到。フランスのパリでは2023年4月、電動キックボードのレンタルサービスの是非を問う住民投票が実施され、約90%が禁止を支持。そして、同年9月から電動キックボードのレンタルサービスが禁止となった。 「パリでは人通りが多いエリアは時速10キロまでしか出ない速度規制などの対策をしても、目に見えた効果が表れず、禁止になりました。英国などでもシェアリングサービスのみ許可されている段階で、まだまだ社会実験的な位置付けの国もあり、欧米でも国によってルールは様々です」
ヤバすぎる日本の運用実態
日本でも電動キックボードの事故や交通違反が増えている理由として、「交通ルールの周知が徹底されていない点が大きい」と鈴木氏が指摘する。 「たとえば、Luupの電動キックボードの場合、時速20キロの速度モードに設定し車道や自転車走行帯、路側帯を走るのが原則。歩道では、時速6キロの速度モードで走行しないといけないのですが、学生に聞いてもこのルールを知らない人も多く、ほとんど守られていません。自転車が車道を走るルールさえもいまだに徹底できていない状況で、電動キックボードが、歩道を走る状況はとても危険です」 電動キックボードの悪質運転で何度も危険な目に遭っているという東京・新宿区在住の30代女性も、実体験を語ってくれた。 「歩道でもお構いなしに電動キックボードが縦横無尽に走っているので、事故寸前になったことは何度もあります。新大久保や歌舞伎町周辺では、外国人や若者の利用者が多く、交通ルールを完全無視。『歩行者が避けろ』みたいな空気も出してくるので、正気の沙汰と思えません」 損保ジャパンが2024年1月に公表した調査結果(人口上位10都道府県に在住かつ事前のアンケートで「電動キックボードを知っている」と回答した16歳以上の男女1076人を対象)によると、「電動キックボードの利用者を見て危険だと感じたことがある」と回答した人は78.8%。 その理由として「速い速度で歩道を走行し、子どもと接触しそうになっていた」「慣れていないのか、フラつきながら走っていた」などの意見があった。 電動キックボードは気軽に乗ることができる点が強調されるが、必ずしもそうでもないという。 「タイヤが小さく、重心が高いのでバランスを取るのが意外と難しい。『転倒しそうになったら、足を地面につけば大丈夫』といいますが、反射神経が必要です。安全に乗ろうと思えば、ヒールは避けるべきだし、荷物が少しでも多いと傾きやすく、自転車以上に服装も限られます」