<なでしこ速報>日本2-1でオランダを下しベスト8進出
女子ワールドカップの決勝トーナメント1回戦が24日(現地時間23日)にバンクーバーで行われ、日本は、オランダに2-1の辛勝。相手のスペースにボールを動かす素晴らしい攻撃の連携と、最後まで運動量の落ちなかった粘り強い守備で、ベスト8進出を決めた。準々決勝は、28日に行われ、ブラジルを破ったオーストラリアと激突する。
日本は、強敵オランダに対してメンバーを変えてきた。 右サイドハーフで起用してきた大野をFWに上げて、大儀見とツートップを組ませた。澤は控えスタートでボランチには、宇津木と阪口のコンビ。攻撃のキーマン、宮間は左のサイドハーフの位置にポジショニングをした。日本が先に主導権を握る。前半10分。左サイドを切り裂いた宮間のクロスから大儀見が中央でヘッド。シュートはクロスバーの上にそれたが、ネットに当たって、はね返ってきたボールに走りこんできた右のサイドバックの有吉が反応して右足をふりぬき、ゴールの左へ貴重な先制ゴールを決めた。「人数をかけて攻める」というなでしこのチームコンセプトを生かした見事な先制攻撃だった。 20分過ぎには鮫島が左サイドを長い距離を走って、ワンツーからシュートまで持ち込んだ。オランダのディフェンスに動揺を与えるボールの動かし方だった。日本の連携でオランダのディフェンスに徐々にスペースが生まれはじめる。日本は、それを見逃さず積極的に中央を使い、ゴール前で細かくパスをつなぎ、シュートチャンスを作っていく。前半シュートは13本。日本の攻撃は、必ずシュートで終わるので、オランダの武器であるスピードを使ったカウンター攻撃を許さない。起点となる選手に必ず寄せ、守備へのリスクマネジメントも徹底している。サイドに対しても人数をかけ突破を食い止めていく。1-0のスコアだが、攻撃の連携は素晴らしく、大量得点差になっていても、おかしくないような展開でゲームは、後半を迎えた。 立ち上がりからオランダに押し込まれた。5分には、ペナルティエリア寸前に斬りこまれたマルテンスに対して有吉がファウルでとめなければならないほど。それでも粘り強く人数をかけながら、オランダFWをフリーにするシーンは作らせない。8分、オランダは、カナダ戦で同点ゴールを決めていた切り札のファンデフェンを投入。一方追加点の欲しい日本も20分に突破力の優れた岩淵を大野に代えてピッチへ送り込んだ。 30分、大きなピンチがあった。左のコーナーキックからクロスをあげられ、こぼれたボールに触った鮫島のそれは、あわや同点のオウンゴールになりかけたが、海堀がパンチングでクリア。平均身長で5センチ以上ある高さに苦しめられる時間帯が続いたが、逆に32分、待望の追加点。大儀見が抜け出し、シュートまでいけなかったが、宮間がサポート、絶好の折り返しパスを岩淵がスルー、そこに攻撃参加してきた阪口がシュート。ゴールネットを揺らした。なでしこらしい美しいコンビネーションだった。 35分には、川澄に代えてレジェンド、澤を投入。2点差を守る残り時間でのゲームコントロールを任せた。 ロスタイムにはいって、怒涛の攻撃を受ける。ゴール正面のヘッディングシュートを海堀が、処理ミスをして失点。さらに攻撃を受けたが、必死にはね返して2-1のスコアでベスト8進出を決めた。 試合後、佐々木監督は、「すいません、いつもハラハラドキドキさせて。これを弾みに次のオーストラリア戦は、がんばりたい。もう少しシンプルなミスがなければ合格点なんですが、ひとつひとつ(チーム状態は)上がってはきていると思う。(失点については)リードしていると相手は、かさにかかって攻めてきますから、それに冷静に対応していくということ。流れのなかでは(ピンチらしいピンチは)コーナーキックくらいなものじゃないですか。やっとベスト8ですから、ベスト4を目指して、精一杯準備をしたい」とインタビューに答えた。 先取点を奪った有吉は、「勝てて、ほっとしています。最初だったので、思い切り打っていこうと思っていました。思い切り打ったら、入ったので良かったです。今日は、距離感も良くて、ワンタッチ、ツータッチでボールが動き、流れの中で点を取れたことは良かったです。最後は、みんなで声をかけながら守ったのですが、できれば、失点ゼロで終わりたかった。次に生かしたい」と安堵の表情を見せた。 日本は、中3日の休養を挟み、ベスト4をかけてオーストラリアと対戦する。