夫・年収700万円、妻・年収130万円。小学生の子どもが2人いて夫の扶養なのですが、夫婦が1人ずつ扶養するとメリットはありますか?
年収700万円の夫、年収130万円の妻、小学生の子どもが2人という世帯からのご相談です。今は子どもたちを夫の扶養に入れているのですが、「16歳未満の子は年収が低いほうが扶養すると節税になる」と聞き、どういうことなのか知りたいそうです。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
税法上の扶養と社会保険上の扶養がある
扶養には税法上と社会保険上の扶養があります。両親が共働きの子どもの場合、扶養の種類ごとに扶養者を変えることができます。 税法上の扶養についてですが、例えば第一子は夫の扶養親族に、第二子は妻の扶養親族にする場合には、その旨を記載した「給与所得者の扶養控除等申告書」をそれぞれの勤務先に提出すれば認められます。 一方、社会保険(健康保険)上の扶養は、2021年8月以降は「夫婦の年収差が1割以内」の場合に限り、どちらの扶養に入れるかを選択できますが、年収差が1割超の場合は、年間における収入が多い親が扶養者となります。 このケースの場合は、社会保険上の扶養は選択できないので、「税法上」の点から節税になるかどうかを確認します。
小学生の場合「所得税」への影響はなし
所得税については、扶養控除の対象となる子どもについて所得税率の高いほう(年収が高いほう)が申告すると税負担を抑えやすいです。ただし扶養控除の対象になるのは16歳以上23歳未満の子どもに限られますので、小学生の場合は、どちらの扶養に入れても税額は原則変わりません。
小学生の場合、「住民税」の負担が減る場合がある
住民税については、「16歳未満の扶養親族」がいることを申告すると、住民税非課税となる基準年収が上がります。具体的には親の給与年収が約100万円から約200万円の場合、扶養親族とすることで住民税の負担が減る場合があります。 ご相談者の場合、妻の給与収入から給与所得を計算すると、 130万円-55万円(給与所得控除)=75万円(給与所得)です。 子どもを扶養しない場合の妻の住民税は1万7500円となります(調整控除によって住民税が安くなりますが今回は省きます)。 子ども1人を扶養した場合、1年間の合計所得が101万円以下であれば住民税は0円です。したがって、1人を妻の扶養親族にすれば本来課税されるべき1万7500円が0円ということで節税効果があります(ここでの1人を扶養親族とした場合の合計所得基準額は、東京23区でのケースです)。 ただし、この基準は自治体によって異なります。例えば、茨城県竜ケ崎市や群馬県館林市の場合は、 28万円×(同一生計配偶者・扶養親族の人数+1)+26万8000円 という計算式に基づいて82.8万円以下が住民税0円の基準額となります。最新かつ住所地の基準額を確認することが必要です。