「ステキな人と仕事がしたいし、いい人って言われたい」岡田将生が仕事上の“人間関係”に思うこと
年々、わかってきた“本読み”の大切さ
――声のトーンについては、どのように考えて、高いトーンにたどり着いたんですか? 僕は普段一人でいるときには、すごくトーンが低いんですよ。だから、なるべくトーンをあげたほうが、剣山のシーンのようなことがあったときに、みじめさにも繋がりやすいという思いもあったんです。それと、さっきも言ったように一子ちゃんとのバランス。それをやってみたら、監督もそのままでいきましょうというリアクションをしてくださったんです。それがわかったのが本読みの段階だったんですけど。年々、本読みの大切さがよりわかってきました。 ――私たちのように、映画やドラマの一視聴者としては、岡田さんの出演されていた『ドライブ・マイ・カー』で「本読み」について、よりどういうものなのかを知ったというところはあります。 僕もやはり『ドライブ・マイ・カー』から意識が変わったところがあります。相手の声やトーンを本読みでまず知ることによって、役が立体的に変わるんだという感覚がわかりました。それと、全体を通して読むことによって、バランスもすごくわかるんです。それによって、自分がどの部分で浮いていたかとかも分かるようになって。もちろん、いろんなやり方はあると思いますが、本読みやリハーサルを重ねることによって、作品の強度が変わってくるんだなということがわかりました。 ――本読みを重ねたことで、即興性も生まれることもあるんですか? 驚きや発見があります。ここは「こういう風に読むんだ?」とか「ここはけっこう低いトーンなんだな」とか。声だけに集中してみると、気づきがあるし、セッションみたいな感じで、台本を読んだときに感じていた感情と、実際に声を出しときに受ける感情とが違っていることもあって、いろんなことに気づけます。それと、僕はまだ見たことないんですけど、リーディングだけでやる舞台もありますよね。そういうことにも興味があります。 ――リーディングの舞台ではないですけど、『いきなり本読み』というのもありますよね。 岩井秀人さんがやられている公演ですね。面白い企画だなと思っていました。やっぱり本読みって、その日のテンションも出るし、どんどんセッションで変わっていったりするし、即興性もあって。声ってすごく大切だなって思いますね。