「ステキな人と仕事がしたいし、いい人って言われたい」岡田将生が仕事上の“人間関係”に思うこと
私生活は、シンプルでつまらないもの
――以前のインタビューでは、若い頃は監督や脚本の意図するものがなかなかわからなかったということを書かれていて、それがもちろん経験を積み重ねてわかるようになったということだったんですが、そういう機微みたいなのは、普段も気づいたりしますか? それが、もうプライベートではそういう機微を読んだりってこともなく、まあ気ままに自由に生きてますね。もちろん、映画や小説にたくさん触れるようにはなりましたけど、私生活は、シンプルでつまらないもんです(笑)。だからこそ、刺激を求めて複雑な役をやろうと思っているほうかもしれないですね。 ――自由に生きてるということでしたが、自分が気持ちが楽になるために何かやっていることはありますか? もちろん友人と飲んだりご飯を食べたりするのも好きなんですけど、一人で飲んだりご飯を食べたりすることも好きで。一人の時間がないと、つらくなっちゃうほうなんです。だから撮影中であっても、一人でご飯作って、お酒を飲んだりする時間を作っています。人によっては、常に誰かといないとダメって人もいらっしゃると思うんですけど、僕は一人の時間が大切な方かもしれないです。 ――前半でも「剣山のシーン」についてのお話を聞きましたが、あのシーンは笑ってはいけないかもしれないけれど、笑ってしまうという、ある意味、人間の複雑さが表れているシーンでした。 演じている現場でも、深刻というよりは、笑いが起こる雰囲気でやっていました。そもそも、剣山が刺さったときの痛さがどれくらいなのかわからなかったんで、この状態では動けるものなんでしょうか? とかいろいろ聞きながらやっていました。しかも二也が、罪悪感もあるし、そのせいで美月を気遣う優しさも出てきて、そんな風にしているうちに、みじめさに繋がっていく。あそこのシーンは、「二也、バカだな、ダメなやつだな」と思ってほしいし、そういうところが二也の愛すべきポイントの一つになっていると思います。 ――岡田さんも仰る通りで、二也にキュートさがないと、見ていてイライラされるシーンだったのかなと思いましたが、バランスが絶妙でした。 そこについては、わりと早い段階から考えていて、二也の声のトーンなどについても試行錯誤しました。トーンや語尾を少しあげてみたりして演じてみたんです。もしそのトーンでやってみて、現場で「違う」って言われたらやめようと思ってたんです。そこを見誤ると、二也のキュートさが伝わらなくて、嫌われるキャラクターになると思ったので。でも、そんなバランスを早めに見つけられたのもよかったし、一子の声のトーンとのバランスもよかったと思います。