北陸新幹線じゃなく福井へ! 開かずの酷道にできた新冠山峠トンネルを筧 五郎が行く
もしかして自転車で初の通行!?
トンネルが開通したのは2023年11月19日、17時にトンネル開通式典が行われた。僕が走行したのは翌日の20日の15時頃だがサイクリストとして通るのは確認したわけではないが僕が初めてだと思うことにしている(それ以前に走られた方がいらっしゃったら教えてくださいね)。 これから4。8kmのトンネルの中を走る。ちなみに自転車で通行できるトンネル日本一は高知県と愛媛県の県境の寒風山トンネルの5432mであるが、それにしても長いことに変わりはない。 テールライト、フロントライトを点灯し、いざトンネル内部へと進む。とにかくまっすぐな道で、福井県と岐阜県の県境看板が見えるが立ち停まると危険そうなので停まらなかった。酷道と言われた冠山峠を2時間かけて上ったあの疲労感を思い出すのだが、平坦でしんどくもなく県境を通過してしまうと、便利になった反面、なにか自転車でしか味わうことができない「あの達成感」がなかった。 しかし、冠山峠を上ったからこそわかることがある。それは不便から便利が生まれ、しんどさから楽が生まれるように、トンネルができたからこそ福井県へ行きやすくなったこと。 このトンネルを掘った人たちのすごさを感じ、感謝の気持ちにはなったのだが何か高揚感や達成感は無かった。
トンネルができ旧道はどうなるのか?
話は変わるが三重県と滋賀県とを結ぶ国道421号に石榑峠が存在したのだが、県境を貫くトンネル(4157m)が開通した後に石榑峠は整備されなくなり酷道から廃道になってしまった。国道417号も国道421号と同じ道を歩むのか? と思ったのだが冠山峠は復旧工事が続いており、トンネルが開通しても酷道として残されていくようだ。 冠山トンネル、冠山峠どちらを通っても福井県へ行ける。 このトンネルができた意味を知るには「不便を知り便利を知る、便利を知って不便を知る」のことわざ(筧 五郎作)があるように、自転車で往復をするのであれば「冠山峠を上ってからトンネルを通行、トンネルを通行してから冠山峠を走行する」という不便と便利を体感できるツーリングコースを作って楽しんでほしい。
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岐阜側徳山湖で旧道、林道冠山線(2024年6月復旧予定)と新道、国道417号が分岐、福井側の田代で再び合流。旧道だと距離19。4km、冠山峠の標高が1042m。新道は距離7。8kmで最高地点は福井側の田代で455m。 <筧 五郎プロフィール> 国内ヒルクライムレースの最高峰、乗鞍のチャンピンクラスや、シクロクロス日本選手権マスターズ優勝など経験豊富。いっぽう「酷道」ハンターとしても知られる。名古屋のショップ「56CYCLE」店長。 筧五郎が行く「酷道の旅」 その他の記事はこちら。 編集:Bicycleclub TEXT:筧五郎/編集部 PHOTO:編集部 MAP:オゾングラフィックス
Bicycle Club編集部