【食品産業あの日あの時】1986年12月1日 「激辛(げきから)」新語流行語大賞 受賞
1986年12月は、のちにバブルと呼ばれる好景気(~1991年2月まで)がまさに幕を開けた瞬間だった。12月1日に開催された『「現代用語の基礎知識」選 ‘86日本新語・流行語大賞』の授賞式には、「新人類」で流行語部門・金賞を受賞した清原和博、工藤公康、渡辺久信(敬称略以下同じ。ともに西武ライオンズ。以降、所属・肩書はすべて当時)、「やるしかない」で特別賞を受賞した土井たか子 日本社会党 中央執行委員長らとともに、東京・神田のせんべい店「神田淡平」四代目店主の鈴木昭の姿があった。鈴木が受賞したのは新語部門・銀賞「激辛(げきから)」。同店は七味唐辛子を大量にまぶしたせんべい「激辛特辛子煎餅」を1971年から販売していたが、この年(1986年)の日本を席捲した激辛ブームを象徴する存在として、鈴木に白羽の矢が立った。 【画像一覧】「激辛特辛子煎餅」、湖池屋1984年発売「スティックカラムーチョ」、1986年発売「カラムーチョチップス」、現在の「カラムーチョチップス ホットチリ味」「スティックカラムーチョ ホットチリ味」
多様な「激辛」商品が産声、激辛の立役者「カラムーチョ」は1984年登場
エスニックブームを背景に、日本に海外の多種多様なスパイスが持ち込まれるようになった当時、食品産業でも消費者の新しい嗜好を捉えた商品が産声を上げていた。1984年11月にはサンヨー食品(サッポロ一番)が「辛口拉麺 オロチョン」を、1985年11月にはベルフーズ(現・クラシエフーズ)が「大辛みそラーメン カラメンテ」を発売。
なかでも子供から大人までに“激辛”を浸透させた立役者と言えば湖池屋の「カラムーチョ」(1984年9月発売)。同社社員が米国出張の折、現地でメキシコ料理が流行していたことに着想を得て開発されたという、チリパウダー(赤唐辛子の粉末)をふんだんに使用したポテトスナック菓子だ。当初はスティックタイプのみで、価格も当時としては高価な200円。 主婦層が中心のスーパーマーケットでは苦戦したが、当時急激に店舗数を増やしていたコンビニエンスストアでヒットしたことで、“おつまみ代わりの辛いお菓子”という新ジャンルを切り開いた。翌1986年、湖池屋は満を持してポテトチップスタイプを投入。辛さをアピールするキャラクター「ヒーおばあちゃん」「ヒーヒーおばあちゃん」を使ったテレビCMもオンエアした。新語・流行語大賞の受賞は逃したものの、当時のポテトチップス市場で7割以上のシェアを占めていたカルビーに一矢を報いたかたちだ。
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