東海道新幹線開業のテープカット＝1964年10月1日、東京駅

日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの保護者にヒントを教えます。

東京五輪で交通網が発展

10月1日、「東海道新幹線」が開業60周年を迎えました。JR東海は沿線4駅で記念の出発式を開きました。 東海道新幹線は60年前の1964年に開業し、それまで6時間半かかっていた東京と大阪の間を4時間で結びました。当時新幹線は「夢の超特急」とよばれました。その後、新しい車両が登場するたびにスピードは増していき、今は「のぞみ」を使えば、2時間半をきる時間で東京と大阪を移動することができます。運んだ乗客はこの60年で約70億人に上ります。また、新幹線網は全国に広がり、その総延長は約3300㎞に及んでいます。 今年60周年を迎えたものは、東海道新幹線のほかにもあります。東京の浜松町と羽田空港を結ぶ「東京モノレール」は9月17日に開業60周年を迎えました。60年前、羽田空港と都心を結ぶ鉄道はなく、自動車は渋滞のため1時間以上かかるのがふつうでした。それが、高架式のモノレールが開通したことによって約15分でつながるようになりました。 東海道新幹線や東京モノレールが60年前の9月や10月に開業した直接の理由は、東京オリンピックの開催にあります。東京オリンピックは、戦後の日本が復興を遂げたことを世界にアピールする場でした。多くの外国人客が日本国内を速くスムーズに移動できるようにして、日本が発展した国であることを印象づける必要がありました。東京オリンピックの開会式は10月10日でしたので、懸命の努力で開業をそこに間にあわせたのです。 交通関係では、首都圏を網目状につなぐ「首都高速道路」の建設が進んだのも、オリンピックの開催が背景にあります。59年にオリンピックの開催が決定するとすぐに首都高速道路公団が発足し、62年から短い区間の開通が始まり、64年に開通区間が一気に増えました。 宿泊施設にも60周年を迎えたところがあります。東京にあるとても有名なホテルである「ホテルニューオータニ」や「東京プリンスホテル」がいずれも64年9月1日の開業で、60周年になります。ホテルニューオータニの開業60周年を記念したホームページには「東京オリンピック開幕を前に、国内外の賓客を迎え入れるために、国からの要請を受け、歴史ある紀尾井町に誕生した」と書いてあります。当時の日本には海外からの大勢の客を受け入れることのできる宿泊施設が少なく、国が有力な実業家に建設を要請してできたのです。