日本で電気自動車が普及しない理由 乗り遅れたのか、それとも… 英国人記者が考えてみた
EV需要の伸び悩みはむしろ好機
ジャパンモビリティショーで展示されたように、日本が現在開発中のEVは商業的な魅力がはるかに高く、バッテリーも大きくなっているようだ。トヨタとレクサスの新しいモジュラーアーキテクチャーを採用したモデルは1000kmもの航続距離を実現するという。しかし、興味深いことに、これは多くの市場でEV需要が冷え込んでいる中での発表であった。例えば英国は、EVの成長が市場シェア17%弱で停滞している。 「日本の3大自動車メーカーが最新EVを開発すると発表した直後に、EVへの移行が突然軟化したのです」とフィオラニ氏は言う。「これらのEVが2~3年後に市場投入される頃には、市場成長の第2波を迎えているかもしれません。その間に大手自動車メーカーの多くが行ってきた、大規模な電動化投資の影響を受けずに済みます」 「当分の間、EVの成長が小康状態にあることは、日本の自動車メーカー、特にEV新製品のポジショニングが弱い中小企業にとっては好都合かもしれません。スズキは依然として効率的で信頼性の高い小型車やトラックを販売しており、マツダは最新の内燃エンジン搭載クロスオーバーを市場投入したばかりで、スバルは手頃な価格の四輪駆動車を求める消費者にアピールし続けている。BEVモデルにシェアを奪われ始めるまでは、こうした中小企業は市場に強く受け入れられ続けるでしょう」 ガイトン氏は、このような需要の一服とEVのコストに対する反動によって、立法者が日本の見解に賛同し、純粋な排出量だけでなく大局的な見地から考えるようになると期待している。「科学技術は時間をかけて進化していかなければなりません。消費者の選択もまた、これを推進することになるでしょう」 「英国ではここ数日、(内燃エンジン車の販売禁止を2035まで年緩和することで)一歩後退したと思います。わたしはそれほど詳しいわけではありませんが、ある意味、消費者の選択肢という点では一歩前進かもしれません。どのような言説があったかは知りませんが、EVを義務付けるのではなく、炭素問題を解決する……世界的にそのような方向に進む可能性はあると思います」 「しかし、時間の経過とともに、消費者の選択とわたし達が持つ解決策の成熟は、期待できるものだと思います」