廃材に命吹き込む商人が活動中 ものづくりの楽しさ伝える架け橋に
FBC福井放送
工場で製造工程で必ず出る「廃材」に新たな可能性を見出そうと、自らを「廃材商人」と名乗る女性が活動しています。 鯖江市内で開かれたイベントで一際目立った謎の生き物のような神輿。会場を彩る「ガーランド」です。 友人同士で一息つくクッション。いずれも県内のものづくり企業から出た「廃材」で作ったものです。 廃材商人 村上捺香さん 「白いモフモフは繊維会社からもらった糸くず 歯の部分も繊維会社からもらった紙管で表現している」 制作したのは自らを「廃材商人」と名乗る、地域おこし協力隊の村上捺香さん(30)です。 村上捺香さん 「去年まで、鯖江市でRENEWというオープンファクトリ―イベントに携わっていて、ものづくりに関する仕事をしていた 色んな工房にお邪魔した時に、廃材が沢山出ることに気が付いて、環境問題にも興味があったので、モノづくりカケル環境ということで、廃材をどうにかできないかと」 村上さんは、春から「廃材商人」として活動を始め、丹南地域を中心に40社以上を訪問して廃材を集めてきました。 この日訪れたのは大正14年創業の越前漆器の工房です。 「最初は木の板なんですけど、使っていくと最終的にこんなに分厚くなる」 見つかったのは「木端板」と呼ばれる木の板。漆器に塗料を吹き付ける際に使う「下敷き」で、2年ほど経つと塗料が付着して重くなり、漆器に汚れが付いてしまうため「廃材」として処分しています。 高橋工芸 高橋亮成さん 「ゴミでしかないので、そういったものが新しい形で価値になれば、それは凄く面白いなと感じたし、捨てちゃうだけなのでもったいないのはもったいないので、使ってもらえるなら嬉しい」 次に訪れたのは鯖江市の繊維会社です。 丸金繊維山本正人代表 「真っ黒けになった」「黒い!」 手に入れたのは織物を作る際に出る糸くず。この会社では、1か月でおよそ2100キロの糸くずが発生し、処分に12万円ほどのコストがかかるそうです。 山本正人代表 「廃材でなんでも活用して新しい発想で新しいモノが出来ると僕らも嬉しい」 「多くの人が廃材の魅力に触れて欲しい」。この日のイベントでは集めた廃材を並べ、訪れた人にそれぞれが秘めた可能性を考えてもらいました。 ■訪れた人 「キャンプのテーブルとして雰囲気が出るなと思って 僕はキャンプが好きなので、色んな別のことをする人にとってはまた新しいモノになるのではと可能性を感じる」 ■村上捺香さん 「出来れば店を構えるか、倉庫を持って廃材をストックしておいて、色んな人にここに来たら色んな廃材がある ピックアップしてものづくりをしてみて下さいというような場所を構えて、常時足を運んでもらえるような道具店を作りたい」 ものづくりの産地で始まった「廃材商人」によるユニークな取り組み。「廃材」に新しい命を吹き込む架け橋となっています。