『仮面ライダーガッチャード』仮面ライダーマジェード役・下園愛弓。スーツアクターの素顔
『仮面ライダーガッチャード』で、本号表紙の松本麗世が演じる九堂りんねが変身した仮面ライダーマジェードのスーツアクターを担当。 【画像】下園愛弓がスーツアクターを担当する仮面ライダーマジェード スタント歴17年。特撮ファンから高い人気を誇る下園愛弓がグラビアに登場。稽古場やプライベートに密着し、知られざる仮面の奥の素顔に迫る。 ■キャリア17年にして初めて仮面ライダーに変身 「仮面ライダーにはなれないと思っていたので、お話をいただいたときは本当にうれしかったです。特撮の現場でまた新たな夢を見させてもらえるんだって。スゴくワクワクしました」 そう語るのは、8月末に最終回を迎えた『仮面ライダーガッチャード』で、2号ライダーである仮面ライダーマジェードを熱演したスーツアクターの下園愛弓。2007年、『獣拳(じゅうけん)戦隊ゲキレンジャー』の吹き替え(女優が素面<すめん>でアクションを演じる際のスタント)で特撮デビューを果たし、2016年、『動物戦隊ジュウオウジャー』のジュウオウタイガーで初レギュラーに抜擢(ばってき)される。 以後、スーパー戦隊シリーズを中心にスーツアクターとして変身後のヒロインを演じてきた彼女だが、意外にもライダーシリーズに深く関わることはなかった。しかし令和になり、女性が変身する仮面ライダーが増え、キャリア17年にして初めて仮面ライダーを演じる機会に恵まれたのだ。 「スーパー戦隊に比べて仮面ライダーは全身が硬くゴツゴツしているんです。初めて装着したとき、可動域が狭くて驚きました。マジェードは冷静沈着なキャラクターですが、とはいえ控えめなリアクションだと動きが伝わらない。オーバーに動いてもキャラがブレてしまうので、あんばいが難しかったです。 それに、チームで戦うスーパー戦隊と違って、仮面ライダーは基本的に個人戦。ピンチになっても誰かが助けに来てくれるわけじゃない。常に、いち戦闘シーンの主役という意識を持ってアクションに取り組んでいました。今までにないくらい、ずーっと戦っていましたよ、ホントに(笑)」 ■スーツアクターを目指したその理由とは? 1984年、鹿児島に生まれた下園。幼少期から器械体操を習うなど体を動かすことが大好きで、中・高校時代は体育祭でアクロバットを披露し全校生徒を沸かせたこともあったという。 「テーマパークのショーなど人前でパフォーマンスをする仕事に漠然と憧れ、高校2年生のとき、デパートや遊園地のショーでアルバイトを始めました。当時放送されていたスーパー戦隊のキャラクターとしてステージに立ち子供たちの前でアクションを披露すると、ワーッと歓声が上がるんです。とてもやりがいを感じました。次第に『ホンモノになりたい』と思い始めたのが、本格的にスーツアクターを目指したきっかけです」 高校卒業後、知り合いの先輩を頼りに上阪。アクション界トップクラスの芸能事務所「ジャパンアクションエンタープライズ(JAE)」所属を目指し、約3年間、和歌山の遊園地でショーに出続け上京資金をためた。そして2006年21歳の頃、上京と同時にJAEに入所した。 「最初の1年間は養成部に所属し、JAEファクトリーという稽古場で毎日のように授業を受け、殺陣やスタントの基礎を学びました。いわゆる体育会系の集まりで、上下関係はめちゃくちゃ厳しかったです。朝、先輩に会ったら、バッグを置いて自分から大きな声で挨拶しないと怒られるんです。ぶっちゃけ、かなりスパルタな環境でした。でも、辞めたいとは一度も思わなかったです。こう見えて高所恐怖症で、10mの高さから飛び降りるスタントにはいまだに苦手意識があるんですけど、軽々と跳んでいく先輩たちの背中を見ているとビビってなんかいられなかったというか。自分にだけは負けたくなかったんですよね」