【災害支援を進化させる日本の警察】きっかけは阪神大震災の教訓、国民が取るべき行動とは
太平洋に面した各都府県警ではこれまで、南海トラフ地震などを念頭に、海路からの輸送訓練を実施してきたが、今回のように港が使えなくなった場合の対応も、新たに検討する必要が出てきた」(警察庁関係者)
能登半島地震で露呈した課題最後に残るのは国民の「自助」
今回の能登半島地震は、元号が「令和」と改められた後も、この国では「災害の時代」が続くことをわれわれ、国民に予見させた。だが、この震災で新たな課題に直面したのは、警察や消防、自衛隊など災害時の救助機関だけではない。 その課題は、能登と地理的条件が似ている男鹿半島(秋田)や紀伊半島(和歌山)などの半島や離島、さらには多くの集落が点在する中山間地域を抱える山形や長野などの各自治体にも突きつけられている。 インフラの損壊などによって、「公助」による支援が難しくなることが見込まれる一方で、セーフティーネットの役割を期待されるのが、住民同士で助け合う「共助」の仕組みだ。が、この4月24日、有識者でつくる民間組織「人口戦略会議」が、全国の40%に当たる744自治体で人口減少が加速し、将来的に「消滅の可能性がある」─との報告書を発表したように、今後、本格的な人口減少、超高齢化社会を迎える中で、その共助の仕組みも揺らぎつつある。 さらに、人口減少の加速化は今後、公助の担い手である警察や消防、自衛隊の人員確保をも直撃するだろう。 残るはやはり「自助」である。〝災害の時代season2〟に突入し、首都直下型地震、南海トラフ地震の発生が想定されている今こそ、〝未災者〟である国民全員に自助のバージョンアップが求められている。 強い危機意識をもって、過去の災害の教訓から学ぶことこそが、その風化を防ぐことに繋がる。平成という時代がわれわれに残した「宿題」とも言えよう。
西岡研介