「仕事がデキる人」が反対意見を言うときに意識している、たった1つのこと
変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。 ● 反対意見を言うだけでは 信頼を失う あなたの職場には、他人の提案や資料の不備を見つけては、鬼の首を取ったように得意げに指摘してきたり、反対意見を述べてきたりする同僚や上司はいませんか? 一見仕事熱心なように見えても、そうした行動だけでは新しい価値を生み出すことはできませんし、周囲から信頼されることもありません。なぜならば、既存の案や意見を否定すること自体は容易であり、そこには責任も創造性も必要ないからです。 新しいアイデアを生み出すことには、試行錯誤のプロセスや大きな労力が伴います。さらに、それを提案する側は否定されるリスクや精神的な負担を抱えています。そうした苦労を理解せずにただ否定的な意見を述べるだけでは、他者のモチベーションを損ね、引いてはチーム全体の生産性を低下させる原因になります。 建設的な意見を述べることなく、否定ばかりしている人が信頼を得られないのは当然のことです。 ● 反対するなら 必ず対案を提示する 仕事ができる人は、単なる反対意見を述べるのではなく、常に対案を伴った意見を提示します。 対案を出すことは、「単なる批判者」ではなく、問題解決に向けて積極的に関与する姿勢を示しており、これが信頼構築の土台となります。また、対案を出すプロセスを通じて、自分自身もアイデアの実現可能性やリスクを検討する必要があるため、批判だけでは得られない学びや洞察を得ることができます。 たとえば、会議中に企画案の論点を指摘するだけでなく、「もしこの部分をこう変えたらどうか」といった代替案を添えることが重要です。こうした行動は、周囲から「頼れる存在」として認識されることにもつながります。 ● 対案がないなら 反対意見を控える しかし、反対意見を述べる際に必ず対案が必要とはいえ、すぐに対案を思いつかない場合もあるでしょう。その際には、むやみに否定せず、一度その案を受け入れることが重要です。対案を考える時間をもらい、その後意見を建設的に共有するなど、適切な対応を心掛けるべきです。 対案を出せないまま否定を繰り返してしまうと、「批判するだけの人」と見なされ、周囲からの信頼を失いかねません。反対意見が真に価値を持つのは、それが問題を解決する方向に向かっているときだけです。そのため、会議や議論では対案を意識し、それが難しい場合にはまず他者の意見を受け入れることを選択しましょう。 アジャイル仕事術では、働き方をバージョンアップする方法を多数紹介しています。 坂田幸樹(さかた・こうき) 株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO 早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA) 大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。
坂田幸樹