正月休みはこれをチェック! Apple TV+ドラマ、『ラ・メゾン』の率直な感想。
そして、誰にも同意を得られそうになく、どこにもそんな情報は見当たらないのだが、お家騒動の中、自身の名を冠したブランドの設立を目論むヴァンサンの甥、ロバンソン(アントワン・ライナルツ)にロエベのクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンがちらついて仕方がなかった。よくしゃべるキャラクターだったのと、いつもポップな格好をしているのがジョナサンのクリエーションっぽかったのか......風貌はそんなに似ていないのだが。
パリを舞台にしていて、ファッション業界が登場するため、Netflixのドラマ『エミリー、パリへ行く』(2020年~)とも比較されがちな本作。しかし、こうして業界の出来事を参照しつつも、『エミリー~』が本物のブランドを果敢に取り込むのとは異なり、架空のブランドを作り上げて中心に据えているだけになかなか難しい感じがした。どうやらスタイリストや職人、若手デザイナーらを集めてドラマのためにアトリエを設立し、劇中に出てくるブランドのコレクションを制作したらしいのだが、それがいかんせんぱっとしない。「すばらしい!」とか評価されていても、全然納得できないのだ。なぜかバルマンのアーティスティックディレクター、オリヴィエ・ルスタンがカメオ出演していたのだが、本物の登場はそれくらいで、実際にファッションウィークの取材をしている身からすると、ショー会場や招待客の描写なども「嘘くさいな~」と思ってしまう。 そんなこんなで、盛り過ぎでちょっと引いてしまう『エミリー~』に比べるとリアリティはある気がするが、ファッション面で説得力に欠ける本作。おかげでのめり込んではいなかったものの、週1回アップされるペースが良かったのか、いつのまにか完走してしまった。かつてスーパーモデルという設定でヴァンサン・ルデュのミューズ、アミラ・カサール演じるペルルに対しても「ちょっときれい&グラマラス過ぎるんだよな~」とかぶつくさ言いつつ、シーズン2も観てしまいそうです。