デジタル時代の採用戦略、カギは「成果指向」と「仕事のタスク化」
デジタル時代という複雑な状況のなかでは、従来の雇用や組織モデルは見直される必要がある。テクノロジーの急速な進化と、市場における需要の変動により、人材管理には、よりダイナミックなアプローチが必要となっている。 こうしたなかで企業は、戦略を根本から見直さなければならない。その際には、職務内容や役割からスタートするのではなく、「望まれる成果」から出発し、その成果を達成するために必要なタスクを戦略的に決定し、最終的にそれを誰が行うべきか(人間かAIか)を決定する必要がある。 ■人材戦略の再考:成果に基づく採用 採用慣行を現代化する最初のステップは、役割中心から、成果中心の計画に転換することだ。このアプローチは、組織の目的を明確に定義することから始まる。 イノベーションの推進であれ、顧客満足度の向上であれ、業務効率の向上であれ、それぞれの目標を具体的な成果に注意深く分解しよう。 ■タスク化:アジリティ(敏捷性)を意識した仕事の設計 成果目標が明確に確立されたら、次のステップは、仕事の「タスク化」だ。これには、各成果目標を個別のタスクに分割した上で、包括的な目標に向かって努力することが含まれる。この個別化によって、仕事の正確な特性が明確になる。 その仕事を人間が担うのであれ、機械が担うのであれ、最も効率的に取り組めるような小さな構成要素に分解することにより、タスクの割り当て方とその実行方法に、より大きな柔軟性が生まれるようになる。 ■スキル中心の採用:能力とタスクを一致させる タスクを明確に定義することで、組織は、そのタスクを効果的に遂行するために必要な特定のスキルの獲得に集中できる。従来の職種名ではなく、スキルに焦点を当てたこの採用アプローチにより、企業は、より幅広い人材を活用することができる。 スペシャリストをプロジェクト単位で雇用したり、適応性が重要なジェネラリストを雇用したり、従来の役割定義に縛られることなくギャップを素早く埋めることができる。 ■将来への備え:タスク自動化におけるAIの役割 仕事をタスクに細かく分類することで、人的資源の配置が明確になり、より戦略的なAI統合に向けての舞台が整う。 リーダーは、各タスクの詳細な構成要素を理解することで、自動化について、十分な情報に基づいた意思決定ができる。この意思決定マトリクスは、企業がテクノロジーを活用し自動化と増強のために努力する際に非常に重要になる。 ■ケーススタディ:AIと人間の相乗効果を活用する このモデルを適用してカスタマーサービス業務を刷新した、あるグローバルなテクノロジー企業の例を考えてみよう。この企業は、「12カ月間で顧客満足度を25%向上させる」という明確な成果目標からスタートした。