「マイナ保険証」本格移行 ネットワークシステムに430万円負担も 医療現場は混乱
2日から健康保険証の新規発行が停止された。国はマイナ保険証への本格移行を進めているが、医療現場の受付では混乱する場面もみられた。 【画像】マイナ保険証によるトラブル 医療機関は7割「あった」と回答
■初めてのマイナ保険証利用に戸惑いも
このクリニックでは、3年前からマイナ保険証の読み取り機械を設置し対応してる。実際、どのくらいの人がマイナ保険証を利用しているのか?1日午前9時前、続々と患者が来院。早速、マイナ保険証を使う患者がきた。 男性(20代) 「今回使うの初めてです。ピッてするだけなので特に不便なこともなく良かったです」 男性(30代) 「半年くらい使ってます。私、薬たくさん飲んでいるので、そのデータとかが他の病院とか行く時にカードに入ってると、言わなくていいので楽になるのかなとは思います」 メリットを感じる人がいる一方で…。 スタッフ 「マイナンバーカードをもしお持ちでしたら」 女性 「持ってますけども」 初めてマイナ保険証を使うという87歳の女性は…。 女性 「このまま?」 スタッフ 「顔認証を押していただいて」 女性 「マスク外さないとダメ?」 スタッフ 「そうですね。まだ押してから」 スタッフに教えてもらいながら顔認証をする。 スタッフ 「これはしないですね。しなくていいのでこのまま」 女性 「もういいんですか?これで登録されたの?」 スタッフ 「これで登録です」 女性 「今みたいについていてくださったら簡単ですけども」 「(Q.マイナ保険証、自分でやってくださいとなると?)ちょっと分からないですね」
■続くトラブル…430万円負担も
マイナ保険証ではなく、従来の保険証を使う人もいる。 高校生(16) 「マイナンバーカード自体持ってなくて(マイナ保険証に)移行しちゃうと不便」 「(Q.12月2日から従来の保険証が新規発行停止されるが?)全然知らなかったんでビックリです。マイナンバーカードを僕みたいに持ってない人は、急な変更に臨機応変に対応できるのかなというところは不安ではあります」 午前9時から午後4時までの間にマイナ保険証を利用した患者は53人中25人。このクリニックでは、これまでマイナ保険証の利用率は5%程度だったが、本格移行にあたり利用者が急増した。 しかし、トラブルもあった。マイナ保険証で受付を済ませた男性だが、その情報をパソコンで開いてみると…。 いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長 「マイナンバー確認としてデータがきていますよね。これを取り込むと記号が表示されないんですよ」 保険証の企業や自治体などを表す記号部分が正確に表示されず、空白に。さらに、別の人のマイナ保険証では、住所が全く表示されないケースもあった。 伊藤院長 「これはめちゃくちゃ多いです。毎日のように複数名いて。事務負担の軽減に達するためには、まだまだブラッシュアップというか、制度を改善していかないといけないと言いつつも、早もう3年」 クリニックでは、マイナ保険証を導入後、これまで使っていた電子カルテに不具合が生じ、先月22日にネットワークシステムの全面的な見直しを行った。 伊藤院長 「保守、本体、連携費用を入れると、430万円ですね」 費用430万円は、全額クリニックが負担。さらに、電子カルテなどのメンテナンスに年間50万円以上かかるという。 伊藤院長 「もっと完成度の高いシステムになってから、医療現場に導入をするという手順であってほしかったんですけど。最初に保険証をなくす、もう本番スタートみたいな形になっているので、もうぐちゃぐちゃしているわけですよね」