【解説・袴田さん再審】いよいよ あす26日に判決言い渡し…再審公判のポイントを改めて整理(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
(スタジオ解説) (徳増 ないる キャスター) いよいよあす26日に判決です。再審公判のポイントを記者が整理します。片山さん。 (片山 諒 記者) はい、弁護側は複数の証拠が「ねつ造」されたと訴えてきましたが、再審公判での最大の争点とされているのは、袴田さんの犯行着衣とされている「5点の衣類」の“血痕の色”です。事件から1年2か月後に、みそタンクから発見され、死刑判決の決め手とされている証拠です。写真を見ると、血痕に赤みが残っているのがわかると思いますが、弁護側は、独自のみそ漬け実験や専門家の意見書をもとに、長期間みそ漬けされた「血痕は黒くなる」と主張しています。赤みが残っているのは発見直前にみそタンクに入れられたからで、衣類は「ねつ造」されたものだと主張しています。一方、検察側は、7人の法医学者による共同鑑定書を新証拠として提出し、条件次第で「赤みが残ることはある」と主張しています。科学的な論争が繰り広げられてきました。 そして、弁護側は「5点の衣類」は犯行着衣ではなく、袴田さんを犯人にするため、捜査機関が「ねつ造」したもので、袴田さんは無罪であると主張しています。一方で、検察側は「ねつ造」について、「非現実的で実行不可能な証拠」と主張し、袴田さんに死刑を求刑しました。あす26日の判決では、証拠の「ねつ造」について、裁判所がどう判断を下すのかに注目が集まっています。 (徳増 ないる キャスター) 増田弁護士は、あすの判決、どのような点に注目しますか? (増田 英行 弁護士) まず、注目点の一つは、「5点の衣類」が犯行着衣なのかどうか。この点について弁護側は、『1年2か月後、みそ漬けになっていたら血痕が赤いはずがない』と。もし弁護側の言うことが正しいのだとすれば、赤みが残る「5点の衣類」というのは犯行当時のものではない、つまり犯行着衣ではないという結論になるはずなんです。こういった弁護側の論理を、あすの判決が認定するかどうか、まず注目点はこの一つです。 (津川 祥吾 アンカー) 弁護側は、犯行着衣ではない…だけではなくて、これは「ねつ造」されたものだと言っていますが、この点はいかがですか。 (増田 英行 弁護士) もし弁護側の主張が通るとすれば、ではこの「5点の衣類」というのは、袴田さん以外の第三者が入れたものとなって来ざるを得ないわけです。そうすると、第三者とは誰なのかというふうに考えた時に、これは「5点の衣類」をそこに入れることによって利益を得る、利益を得る者でしか考えられないわけです。そうすると、真犯人なのか、それか捜査機関かという疑いが出てくるわけです。ところが、真犯人は、すでにこの当時は捜査機関の手が及んでいますから、みそタンクの中に衣類を入れられるはずがない。それから他の証拠との整合性がありますから、それを証拠として出せるはずがないんですね。そうするとどうしても捜査機関への疑いが強くなってくる。ここに捜査機関の「ねつ造」なのではないかという疑いが残ってくるんです。こっこに判決が踏み込んでくるのかどうか…が二つ目のポイントだと思います。 (徳増 ないる キャスター) そして、判決が言い渡された後はどうなるのでしょうか。片山さん。 (片山 諒 記者) 静岡地裁がもし、無罪判決を仮に言い渡した場合、検察側は、控訴の期限である10月10日までに控訴することができます。控訴しなければ、袴田さんの「無罪が確定」することになります。一方、控訴した場合は、東京高裁で引き続き審理が行われることになります。 (徳増 ないる キャスター) 無罪判決となる公算が大きいとれていますが、増田さん、検察のこの対応ですね、控訴するのかどうかということについては、どうお考えですか。 (増田 英行 弁護士) 私は、さきほどのポイントの二つ目ですね。「ねつ造」だというところについて判決が言及するのかどうかということが、非常に大きな影響を与えるのではないかと思っています。それは、もし「ねつ造」だと言われれば、一つはやはり検察の威信に関わる問題だととらえている。それからもう一つは「ねつ造」だということになると違法になりますので、場合によっては国家賠償責任を問われる可能性も出てくる。そうなると検察は、やはり、控訴せざるを得ないのではないかという判断になりがちかなというふうに私は思っています。