「パワハラはあった」「陥れられた」…斎藤元彦知事の疑惑巡りSNS上に断定的な投稿、誤情報・中傷は今も
斎藤氏は私的情報の漏えいの可能性があるとして第三者機関で確認するとしている。また、SNS上の誹謗中傷を防止する条例の制定も検討している。
識者「曖昧さ受け入れて」
立命館大の谷原つかさ准教授(計量社会学)は拡散の背景について「疑惑の結論が出ない中、SNSに情報を求めた結果、自分が信じたいものだけを集める『確証バイアス』が働いた可能性がある」と分析。「情報に接する際は、事実らしい言説を安易に信じたり、拡散したりせず、結論が出ないことの『曖昧さ』をそのまま受け入れることも必要だろう」としている。
X上の斎藤氏「支持」広がりに「二つの節目」
知事選で斎藤氏の勝因の一つとなったとされるSNS。X(旧ツイッター)の投稿を分析すると、斎藤氏への支持の広がりには<二つの節目>があったことがうかがえる。
東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)が、7月から投開票日前日の11月16日までの斎藤氏に関する投稿約304万件を「支持」「不支持」に分類し、読売新聞が背景を分析した。
X上では7月以降、斎藤氏への批判的な投稿が大半を占めていた。特に内部告発した前西播磨県民局長の死亡が発覚した同月8日には不支持の投稿が急増した。
一つ目の節目は、支持が不支持を初めて上回った9月中旬だ。県議会による斎藤氏への不信任決議案に関する報道がされていた頃で、県議会の対応への疑問が投稿されるようになった。
支持と不支持が拮抗(きっこう)する中、10月15日に衆院選が公示されると投稿は減少した。
二つ目の節目となったのが、NHK党の立花氏が立候補を表明した10月24日だった。立花氏は前局長の私的情報に関する主張を繰り返し、関連投稿が増え、支持が不支持を大きく引き離すようになった。
選挙戦中盤の11月9日には、不支持が支持を逆転した。これは、特定の宗教団体が斎藤氏を支援しているとの情報が拡散したためとみられる。この情報は宗教団体がすぐに否定。投開票日前日には支持が再び増え、不支持を逆転した。