円下落、国内政治リスク警戒し対ドルで一時152円台-需給も重し
(ブルームバーグ): 25日の東京外国為替市場で円相場は一時1ドル=152円台前半に下落。週末の衆院選後の政局を警戒した売りのほか、事業会社の決済が集中する五・十日(ごとおび)で実需のドル買いが重しとなった。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、衆院選は与党過半数割れが焦点で、「政局混乱を受けた株安や日本銀行の利上げが遅れるとの連想による円安への警戒から、円は買われづらい」と指摘。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定に向けドル需要が強まったことも円を押し下げたと述べた。
市場が注目する200日移動平均線が前日の海外時間に続き円の上昇を抑えている。大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、200日線の突破が153円台の約3カ月ぶり安値を付けるきっかけとなっただけに、足元151円42銭に位置する同線が「強い抵抗に転じている」と指摘した。
一方で、日本の通貨当局による円安けん制発言は円の下支えとなっている。加藤勝信財務相は24日、訪問先の米ワシントンで為替市場の過度な変動を指摘。三村淳財務官は、加藤財務相とイエレン米財務長官が為替について議論したことを明かした上で、投機的な動きを含めて緊張感を高めて注視していると述べた。
今週末の衆院選を皮切りに日米で重要イベントが続く。30、31日に日銀の金融政策決定会合、米国で11月1日に雇用統計、5日に大統領選挙、6、7日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。SBIリクイディティ・マーケットの上田氏は、イベントを前に「徐々に様子見でレンジ相場になっていくだろう」と語った。
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Daisuke Sakai