米大統領選と米連邦議会選、「結果の組み合わせ」で予想される金融市場の反応【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。
●市場はハリス氏の政策との比較でトランプ氏の減税策などを景気刺激的で財政拡張的とみている。 ●ただ大統領選だけでなく、次期大統領の政策実行の自由度を大きく左右する連邦議会選も重要。 ●選挙後の市場の反応は短期的、中長期の影響は次期大統領の具体的な政策の見極めが必要。
市場はハリス氏の政策との比較でトランプ氏の減税策などを景気刺激的で財政拡張的とみている
まれにみる大接戦となった今回の米大統領選挙は、昨日11月5日から投開票が始まりました。そこで以下、大統領選の結果をいくつかのケースに分け、それぞれで予想される米金融市場の反応について考えます。改めて、ハリス副大統領とトランプ前大統領の経済政策を簡単に比較すると、ハリス氏の政策は、法人増税、富裕層増税、食品価格の抑制、クリーンエネルギー投資の拡大など、中間層を支援する内容となっています。 一方、トランプ氏の政策は、法人減税、トランプ減税恒久化、金融規制緩和、環境規制緩和などを政策の柱としており、住宅支援や中国に対する厳しい通商政策などは、両氏ともに掲げる政策です。なお、市場ではトランプ氏の政策を景気刺激的、財政拡張的と受け止める向きも多く、10月に入りトランプ氏の支持率が上昇するなか、市場では、米株高、米長期金利上昇、米ドル高の動きもみられました。
ただ大統領選だけでなく、次期大統領の政策実行の自由度を大きく左右する連邦議会選も重要
大統領選とともに重要なのは、同時に実施される連邦議会選です。今回、上院(定数100)は3分の1の改選と補選1議席の合計34議席を争い、下院(定数435)は全ての議席が改選され、過半数の218議席を民主党と共和党の両党が争います。現状、上院は改選議席の多い民主党がやや苦戦を強いられ、下院はほぼ互角の戦いと報じられていますが、議会選の結果は、次期大統領の政策実行の自由度を大きく左右することになります。 選挙結果について、大統領選はハリス氏勝利かトランプ氏勝利かの2つのケースがあり、議会選は上院、下院、ぞれぞれで民主党、共和党が過半数の議席を獲得する4つのケースがあります。各組み合わせで予想される米金融市場の反応をまとめたものが図表です。なお、上院民主党・下院共和党のケースと上院共和党・下院民主党のケースは、ほぼ同じ反応が予想されるため、図表では後者のケースを記載しています。
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