【目黒記念回顧】シュトルーヴェが重賞を連勝 4歳馬サトノグランツは持続力勝負で見直したい
実質残り600mの競馬を差し切ったシュトルーヴェ
ダービーの余韻残る目黒記念は、時として意外な決着になり、競馬ファンをある意味現実に引き戻してくれる。宝塚記念への意識というより東京芝2500mへの適性を求めハンデ戦を狙う。そんな陣営の意図がレースを難しくする。ただ、今年は13頭立てと落ち着いた頭数になり、上位と下位の差を若干感じるメンバー構成になった。それなりに堅いのではないか。そんな決めつけも10番人気2着シュヴァリエローズに吹き飛ばされた。やはり、ダービーで熱くなった頭を冷静に再起動させないと、目黒記念は当たらない。 【日本ダービー2024 推奨馬】勝率75%&単勝回収率252%の強烈データに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 以前の目黒記念は格下馬が大逃げを打つなど、速いペースのスタミナ勝負になることが多かったが、近年はそうはならない。スローの前残りが目立ち、ポジションが勝負を分ける年が目立つ。今年も格下のケイアイサンデラが大逃げに持ち込むかと思われたが、1000m通過は1:01.9のスローペースになった。中盤で13.0が刻まれ、残り600mまで目立った動きもなく、ペースアップもない。9着に敗れたケイアイサンデラは少し色気を持ちすぎたか。決め脚比べの東京でこのメンバーを相手にするなら、勝負所で引きつけない方がよかったかもしれない。伏兵の流儀は常にイチかバチか。勝負に出ても面白かった。 実質残り600m11.2-11.2-11.4、上がり33.8という軽い競馬を、4コーナー10番手からまとめて面倒をみたシュトルーヴェは流れを考えれば凄みすらあった。これで今年に入り、3勝クラス、GⅡ・2勝と負け知らず。下半期の台風の目になってほしい。日経賞でも感じたが、これでキャリアがたった12戦しかなく、その間、連対をはずしたのはわずか3度しかない。常にベストな状態を模索し、適条件を見定めて進むという堀宣行厩舎の信念が透けてみえる。多くの良血馬を管理するなかで、走る馬ほど繊細な脚元を持つことを知り、ケアするノウハウを蓄積してきた厩舎力がシュトルーヴェに集約されている。 父キングカメハメハ、母の父ディープインパクトという日本競馬屈指のダービー馬の血は東京競馬場でこそ輝く。反面、母アンチュラスの産駒は父ルーラーシップのアンティシペイトを除くと、思うような競走生活を歩めていない。シュトルーヴェの全兄スカテナートは未勝利に終わり、現3歳アンティシパルも4戦未勝利と難しい血統でもある。オープンまで出世したアンティシペイトも中9週以上など間隔をあけてレースを使われ、勝ちあがってきた。血統のリズムが堀厩舎に合う印象がある。ぜひ秋はジャパンCを目標に順調に歩んでいってほしい。