20歳介護士女性、ドラコン世界一 ゴルフ歴1年、飛距離285.5ヤード アマ大会で外国選手圧倒
ゴルフのドライバー飛距離を競うドライビングコンテスト(ドラコン)。その世界大会アマチュアの部で、ゴルフ歴たった1年の20歳が頂点に立った。兵庫県姫路市在住の介護士、石井咲楓(さき)さん。身長164センチの体から繰り出される鋭いスイングで次々と勝利を重ね、瞬く間にその名をとどろかせた。来年からプロに転向し、さらなる高みを目指す。(橘高 声) 【写真】世界大会の試合に臨む石井咲楓さん=米サウスカロライナ 「ドラコンは、自分が頑張った分だけ結果に出るのが楽しい」と笑う石井さん。昨年7月に初めてゴルフクラブを持つまで、握っていたのはバットだった。 きょうだいの影響で4歳から軟式野球を始めた石井さん。小学校低学年からソフトボールに打ち込み、6年生のときには国際親善大会の日本代表に選ばれるなど頭角を現した。高校では、広島県の強豪校に進学。投手を務めながら、全国大会で逆転ホームランを放つなどバッターとしても活躍した。 高校卒業後は実業団で競技を続けたが、昨年6月に退団。そんなとき、趣味でゴルフをしていた父から打ちっ放しに誘われた。すると、初めて打ったショットが230ヤードを記録。それを見ていたドラコン選手に「これは世界のてっぺんにいける」と太鼓判を押された。 介護士として働きながら、休みの日には練習に打ち込んだ。練習法は全て独学。プロ選手のプレーをユーチューブで見たり、父にアドバイスをもらったりしながらボールの置く位置やクラブの振り方を少しずつ変え、スイングを研究した。 今年4月、三重県であったドラコン大会に初めて出場した。ドラコンは2分半の間に計6球を打ち、フェアウエー内に飛んだボールの飛距離を争う。「実はルールを知らないまま出場したんです」と石井さん。ところが結果は240ヤードで優勝。「『本当に世界にいけるかも』と自信がついた」と振り返る。 国内の大会で優勝を重ねた後、8月にあった日本ドラコン選手権大会のアマチュア部門で優勝し、世界大会への切符をつかんだ。 世界大会は9月に米サウスカロライナ州で開かれ、各国から計7人が出場した。「自分の体がすっぽり隠れてしまうぐらい体格のよい選手ばかりで少しひるんだけれど、練習通り楽しもうと考えた」と振り返る。 予選では飛距離順に人数が絞られた。石井さんは予選を2位で通過。決勝に勝ち進んだ。決勝はカナダ選手との一騎打ち。予選を1位で通過していた選手だった。 「うまく打てたらすぐに分かる。ホームランを打ったときのようにボールがピンポン球くらい軽く感じる」。決勝ではすぐにその感覚があった。6球を打ち終わり、司会者が石井さんの結果を読み上げる。「285.5ヤード」。相手選手は260ヤードほど。優勝が決まった瞬間だった。 さらに強い選手と戦うため、介護士の仕事は続けながら来年プロに転向する。「プロでも世界一になる」。石井さんの挑戦はまだ終わらない。