トランプ氏の復権は「悲しみ」とメルケル氏…「好奇心旺盛だが、それは自分を強くするため」
【ベルリン=工藤彩香】ドイツのアンゲラ・メルケル前首相が、22日公開の独誌シュピーゲルの取材で、トランプ次期米大統領の復権は「悲しみ」であり、「多国間主義への挑戦だ」と語った。2021年に政界を引退したメルケル氏が26日に初の回顧録を出版するのに合わせ、取材に応じた。
メルケル氏はトランプ氏を「(互いに利益を得る)『ウィンウィン』の状況を許容せず、勝者と敗者しか認めない」とし、「米国第一主義」を掲げるトランプ政権下では自身が重視した国際協調が難しくなるとの見通しを示した。実業家イーロン・マスク氏の要職起用についても、「政治が企業の影響を強く受けすぎる」可能性に懸念を示した。
メルケル氏は北大西洋条約機構(NATO)の防衛費負担などを巡りトランプ氏と対立する場面が目立ち、相性は最悪だったとされる。トランプ氏と付き合う心構えを問われ、「好奇心旺盛で詳細を知りたがるが、それは自分を強くし、相手を弱体化させる論拠を見つけるためだ」と指摘した。