「ガミースマイル」の治し方を歯科医が解説 手術の種類や治療の流れ、術前・術後の注意点について
笑ったときに歯ぐきが3mm以上見えて目立ってしまう「ガミースマイル」の治し方には、大きくわけて矯正治療と外科手術の2つの方法があります。今回はこの2つの治療法のうち、ガミースマイルの外科手術を中心に、手術の種類や流れ、注意点などについて「中野デンタルクリニック」の松尾先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
笑うと歯ぐきが目立つ「ガミースマイル」を治す外科手術の種類を歯科医が解説
編集部: ガミースマイルを治す外科手術には、どのような方法があるのでしょうか? 松尾先生: 代表的な手術法に「歯冠長延長術ならびに歯槽骨整形術」と「上唇粘膜切除術」の大きく2つの方法があります。 編集部: まず、歯冠長延長術・歯槽骨整形術について教えてください。 松尾先生: 上顎の骨が厚い、あるいは歯が短くてガミースマイルを生じるケースに対しておこなう術式です。まず、上顎の奥歯から前歯までの歯ぐきにメスを入れて切開し、骨を適正な大きさや厚みに整えます(歯槽骨整形術)。その後、歯ぐきを目立たないラインまで移動させて歯冠(歯の白い部分)の長さを調整し、縫合します(歯冠長延長術)。 編集部: もう一方の上唇粘膜切除術とは、どのような術式なのでしょうか? 松尾先生: 笑ったときに上唇が上がりすぎてガミースマイルになってしまうケースに用いられる術式です。上唇と歯ぐきの間にある粘膜を一部切除し、そこを縫い合わせて上唇を上がりにくくします。上唇粘膜切除術のみでガミースマイルを改善できるケースもありますが、単独では改善が難しいケースについては患者さんと相談の上、ほかの治療法を併用することもあります。
ガミースマイル治療の流れ 手術の時間・期間の目安は?術後の腫れや痛みはどれぐらい続く?
編集部: ガミースマイル治療の流れを簡単に教えてください。 松尾先生: はじめに、カウンセラーによる問診で患者さんのお悩みやご希望、これまでの治療経験(ガミースマイル治療や矯正治療の有無)などをお聞きします。その後、レントゲン検査やCT検査、口腔内スキャン、顔貌写真など必要な検査をおこない、検査結果をもとに今後の治療方針についてご説明していきます。 編集部: 検査したその日に治療の内容が決まるのでしょうか? 松尾先生: 外科手術だけで改善が見込めるケースについては当日にその旨をお伝えし、手術日を決めることが可能です。ただし、歯並びに問題があるケースについては分析に1週間程度期間を要することもあるため、その場合は後日来院していただき、施術後に実現可能な状態を3Dでお見せします。 編集部: 外科手術でガミースマイルを治す場合、手術時間はどれくらいかかりますか? 松尾先生: 歯冠長延長術ならびに歯槽骨整形術で1時間~1時間半、上唇粘膜切除術で1時間程度です。いずれの手術も局所麻酔のみでおこないます。 編集部: 通院回数や治療期間の目安を教えてください。 松尾先生: いずれの術式も縫合している糸を取る処置(抜糸)が終わったら、施術自体は終了となります。抜糸の目安は、歯冠長延長術(+歯槽骨整形術)で術後1週間~10日程度、上唇粘膜切除術で術後10日~2週間程度です。通院回数は初診(カウンセリング・検査)と手術、抜糸の3回、トータルの治療期間としては2~3週間程度となります。 編集部: 術後の腫れや痛みについてはいかがでしょうか? 松尾先生: 歯冠長延長術ならびに歯槽骨整形は、痛みが出ても鎮痛剤で治まる程度で、3~4日で落ち着くのがほとんどです。一方、上唇粘膜切除術は切除するのが軟らかい粘膜なので、術後の痛みはほぼないと言っていいでしょう。ただし、内側の粘膜にメスを入れるため、術後4~5日ほどむくみが生じることがあります。治療スケジュールを立てる際は、その点を考慮して手術日を決めておくと安心です。