能登半島地震で関心高まる“半島防災” 多くの集落が孤立か…男鹿市の現状は 避難と救助に「ヘリポートがあれば」
2024年元日に発生した能登半島地震で関心が高まった「半島防災」。秋田県には能登半島と似た地形の男鹿半島があり、地震で道路が寸断された場合、集落が孤立する可能性がある。 「道路が封鎖されるとヘリコプターを使うしかない」と危機感を強める住民。地元自治体をはじめ、県や地震の研究者なども危機感を募らせていて、防災・減災対策の検討に動き出した。 【画像】道路の寸断で秋田・男鹿市では約1450人が孤立する可能性も
能登半島と共通点が多い“男鹿半島”
1月に発生した能登半島地震では、石川県で最大震度7を記録した。 道路が至る所で寸断され、警察や自衛隊などが現地にたどり着くのに困難を極めた。 石川県のまとめでは、最大24地区で3345人が孤立状態となり、山あいでは救助までに2週間以上を要した所もあった。 東西南北のうち、3つの方角が海に囲まれた半島。地形の脆弱(ぜいじゃく)性があらわになった。 秋田県・佐竹知事が「過疎地、高齢集落、遠隔地で山岳地帯、海岸部にあり、これらが一番凝縮されている」と話す男鹿半島。能登半島と地理的条件で共通点が多く、日本海に突き出ている。 主要道路は、半島中心部を縦断する国道101号線と、半島の沿岸を走る県道だ。 これらの道路が寸断された場合、男鹿市では最大で12の地区や集落で約1450人が孤立する可能性があるとみられている。
陸路が困難に…多くの集落が孤立か
こうしたことから、秋田県は大規模地震が発生した際の対応を協議する検討委員会を立ち上げた。 能登半島地震を教訓に、支援が届きにくくなる男鹿半島などの防災上の課題を洗い出し、秋田独自の対策を取りまとめる。 検討委員会の委員長を務める秋田大学・水田敏彦教授(地震工学): 男鹿半島は、能登半島地震のような地震が発生した場合に、陸路は困難を極めて孤立する所はたくさん出ると予想される。秋田県の地域特性や能登半島地震を踏まえて、経験や教訓を生かして防災・減災について検討を行っていきたい 男鹿市戸賀の加茂青砂集落は、孤立する可能性がある集落の1つだ。 41年前の1983年5月26日に発生した日本海中部地震では、秋田県沖を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生し、秋田県内では津波で79人が亡くなった。 加茂青砂では、遠足で訪れていた北秋田市の旧合川南小学校の児童13人が、津波に流され犠牲となった。 現在、自治会長を務め、41年前を知る大友洋一さん(75)は、能登半島地震で明らかになった半島特有の災害リスクを改めて感じ、危機感を強めている。 男鹿市加茂青砂集落・大友洋一自治会長: 加茂青砂の住民をいかにして避難させるかが一番頭にある。やはりヘリポートがあればいいなというのが希望 加茂青砂集落は、男鹿市の沿岸部にある上、背後には急な斜面が迫る。住民は84人で、約7割が高齢者だ。