他球団選手とのプロ野球合同自主トレは馴れ合いになるのか?その是非は?
「確かに敵チームの選手とやることに賛否両論はありますね。でも、僕は個人のレベルを上げるためには、2月のキャンプが始まるとできないことを、今、できる時期にたくさんチャレンジすることが重要だと感じているんです。自分の力を高め、レベルアップするには、違うチームの選手との交流も大事で、刺激を受けることが多いんです。この時期だからこそ伸びることも少なくありません。僕が年齢的に一番上ですが、教えるというより、彼らと同じ空気、同じ空間を感じる中で、トレーニングするだけで違います。技術ではなく一緒に走った、一緒にトレーニングしたということだけで違うんです」 ――馴れ合いになるのではとの批判論もあります。 「それって逆ですよね。仲がいいバッターと対戦するとなって、ど真ん中に投げて打たせるって、絶対にないです。むしろ、知り合いだからこそ『抑えてやる』『打ってやる』という気持ちが強くなりますよ。一緒にきついトレーニングをやった選手同士だからこそ感じるものがあります。ライバル心が逆に強まるんです。だからピッチャーと野手も一緒に自主トレをやっていいと思います。知り合いだからこそ、燃える、目に見えない気持ちの高ぶりがあります。そうやってプロ意識を高めていきたいんです」 実際、もう何年も他球団の選手との合同自主トレを行ってきた松田の話には、かなりの説得力がある。 技術交換やトレーニング内容、情報の交換だけでなく、メンタル面での刺激も受ける。西武の山川や、横浜DeNAの宮崎らのブレイクを見ていると、他球団との交流がプラスに働き、球界全体のレベルアップにもつながっているのではないか、とも思わざるを得ない。 プロ野球ファンからすれば、オフの間に、誰がどこで誰と、どんなトレーニングをしていようが、興味はわくが、そう関係のないことだろう。要は、シーズンが始まったときに、どれだけの高いパフォーマンスで勝利に貢献して、感動を与えてくれるのか、ということ。SNS時代だけに、馴れ合いがプレーに出れば、すぐに「あれ、こいつら仲いいから、こんな甘いプレーしているんじゃないの」との疑念が発信される世の中でもある。“馴れ合い”の監視は、ファンがしてくれるのだから、合同自主トレの是非を論じるのは、そろそろ終わりにしたほうがいいのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)