“諦めの悪いアイドル”SKE48熊崎晴香が苦節12年で出した初センターという答え「私には時間がない」
熊崎晴香は、27歳にして目標だったセンターの座を掴んだ。10月2日、SKE48が発売するシングル『告白心拍数』を真ん中で歌うのだ。栄光に至るまでには紆余曲折があった。タイムリミットも感じていた。これは、一人のアイドルが夢に到達するまでの記録である。(前後編の後編) 【写真】熊崎晴香、昨年発売した1st写真集カット【3点】 SKE48の6期生・熊崎晴香はセンターに立つことを夢見ていた。その思いは研究生時代からブレることはなく、正規メンバーに昇格すると、ファンの前で「センターになりたいです!」と宣言した。 当時のセンターである松井珠理奈は、後輩である熊崎を高く評価していた。 熊崎「6期生が研究生だった頃、珠理奈さんが私たちのレッスンを見に来てくれたことがありました。珠理奈さんは6期生を集めると、『この中でセンターになりたい子はいる?』と聞いてきました。そこで手を挙げたのは私だけだったんです。私はそのことをよく覚えていないんですけど、その日から珠理奈さんは、私がセンターに立つことを望んでくれるようになりました。『そういう根性がある子がセンターには向いているんだ。絶対立ってほしい』と何度も直接声をかけてくれました」 珠理奈がSKE48を卒業したのは、2021年春。熊崎の心はざわついた。次のシングルのセンターは誰なのか? 秘かに期待をした。 熊崎「私がセンターに立つならこのタイミングだって思いました。もしここで立てなければ、時代は次の世代へと移ってしまいますから。一度変わってしまった時代の流れを逆行させるのは簡単なことではありません。焦りもあったし、期待もありました」 予感は的中する。珠理奈が卒業して初のシングル『あの頃の君を見つけた』でセンターに指名されたのは、林美澪だった。当時の林は中学1年生の12歳。10期生として加入。研究生ながら、将来を嘱望されたスーパールーキーだった。 熊崎「グループのためを考えるならそうだろうなって納得してしまう自分がいました。自分がグループを盛り上げたかったけど、自分の欲をここで出すべきではないと思いました」 熊崎に与えられたポジションは林の隣。初選抜にして初センターの中学生を支えてあげてほしい。スタッフのそんな思惑を熊崎は察知し、受け入れた。 続くシングル『心にFlower』のセンターも林。またダメだったかという悔しさと、仕事に真摯に向き合う中学生を支えようという思いが交錯した。 今度こそ。そう願ったシングル『絶対インスピレーション』のセンターは、青海ひな乃が立つことになった。青海は9期生。パワフルなダンスと類まれなる統率力が魅力的なメンバーだ。 熊崎「青海ちゃんが所属するTeam Sの公演を観に行ったんです。彼女が踊る姿を見たら、文句は言えませんでした。私も好きになっちゃいましたから。オーラがハンパないですし、ハッキリと物を言う性格は私にはないものでした。人としても、パフォーマンス面でも尊敬できる後輩でした。『絶対~』の私のポジションは1列目の端でした」 続くシングル『好きになっちゃった』と『愛のホログラム』では、7期生の末永桜花が連続でセンターを務めた。 熊崎「劇場公演で、勢いのあるメンバーって、ファンの方が持つペンライトを見ればわかるんです。その頃、ピンクのペンライトが目立つようになっていました」 ピンクは末永のカラーだ。