F-15に乗ると「地球は丸い」と実感できる…戦闘機パイロットしか体験できない「高度5万フィート・超音速」の世界
■燃費を重視するか、ステルス性を重視するか アフターバーナーを作動させて超高速で飛べば、東京から北海道まで約20分で到達できる計算になります。ただし、それはあくまで計算上での時間で、実際はそんな飛び方をすることはあり得ません。 アフターバーナーを作動させると、当然、燃費は悪くなります。F-15の燃料タンクを満タンにしても、常にアフターバーナーが作動していたら30分が限界でしょう。離陸から帰投まで30分、上空に30分しかいられないとしたら、戦闘機としては役に立ちません。 実際の戦闘では、燃料の消費を抑える飛び方が要求されます。まず、離陸したらできるだけ早く高高度に上昇します。高高度は空気密度が低いので、燃料の消費を抑えることができます。いざ戦闘というときには、必要に応じて高度を下げたり、アフターバーナーを使用したりします。そして、また上昇して帰投する、というように使い分けます。 ちなみに、燃料の消費を考えず、敵に発見されないことだけを考えれば、地上または海面スレスレを這(は)うように飛ぶのも1つの方法です。 しかし、その飛び方では燃費が悪くなります。状況によって何を重視するかで、飛び方はまったく変わるということです。 ---------- 前川 宗(まえかわ・そう) 元航空自衛隊パイロット 1981年3月生まれ、愛知県出身。高校卒業後、航空自衛隊「航空学生」に入隊し、戦闘機パイロット資格を取得、F-15戦闘機パイロットとして任務につく。飛行教導群(アグレッサー部隊)にも所属。TACネームは「Hachi」。現在は、複数の会社の役員や顧問を務める傍ら、講演活動や学生への教育に注力している。著書に『価値ある人生と戦略的投資』(ごま書房新社)がある。株式会社HighRate代表取締役。一般社団法人「空の架け橋」代表理事。 ----------
元航空自衛隊パイロット 前川 宗