【インタビュー】板倉滉、北中米W杯へ決意を語る「本気で優勝を目指す」
【サッカー日本代表 最新ニュース】板倉滉は、サッカー日本代表の守備陣に欠かせない存在となっている。初出場のカタールW杯で主力として活躍し、現在行われている北中米W杯に向けた最終予選でも全4試合に出場。新たなディフェンスリーダーとして不動の地位を築く27歳が、最終予選の戦いやW杯に懸ける思いを語った。 【動画】守備だけじゃない! 板倉滉が華麗なボレーシュートを叩き込む
――ここまでW杯最終予選も4試合が終わりました。3勝1分という成績に対し、どんな印象を受けていますか? 悪くはないと思います。もちろんホームで勝ち点を落としたところは思い通りの結果ではないですけど、やはり最終予選が簡単ではないということは前回の最終予選を経験してわかっています。それを理解している中、ここまでの結果は全然悪くないかなという印象です。 ――前回の最終予選の経験が生きていると感じる部分はありますか? 間違いなくありますね。前回の最終予選もそうですし、僕にとってはアジアカップもそうですけど、やはり対アジアの難しさを身に染みてわかっているからこそ、特にスタートダッシュは相当大事になってくる。後に響いてくると思っていました。そういった意味では、このスタートダッシュはちゃんと繋がっているなという印象があります。 ――アジアの戦いだと日本がボールを持つ時間が長いこともあり、最終ラインの選手としては急なピンチに対応できるような集中力がかなり求められている気がします。 後ろの選手のリスク管理というのは絶対大事になってきます。逆にずっと押し込んだ状態をなるべく長く続けるために、奪われた後のトランジションが大事になってくることを、前の選手も含めてみんながちゃんと理解しているなと試合の中で感じています。 もちろん日本代表としてきれいな勝ち方をしたい思いもありますし、目の前の最終予選というよりその先を見据えた中でという思いもあります。だけど、やはりそんなに簡単ではないというのが第一にあるので、そこのリスク管理やどんなに点差がついてもゼロで終わることの意識は持ちながらやっている感じです。 ――オーストラリア戦は相手の対策に苦戦したように思います。アジア各国の日本対策がより厳しくなっていることを感じますか? だいぶ真ん中を固めていましたね。もちろんホームだったので勝ちたかった思いもありますけど、ああいう相手がこれからも増えてくる可能性があります。その中で、どうやって相手を攻略していくかという課題が見つかったことは良かったなと。 ただ、最終予選で初めての失点をして、なおかつ相手の先制点というのもあった。多少メンタル的に難しい状況になってもおかしくなかったと思います。それこそ理想が高いぶん、そこに意識がいきすぎてやられたことへのダメージが大きくなり、メンタルがぶれたりしてもおかしくない中で、1失点した後もぶれずに精神を保ってやれたことは良かったと思います。ライバルのオーストラリアに勝ち点を渡さず、僕らが勝ち点を1取れたことはポジティブに持っていくしかないという感覚があります。 ――オーストラリア戦では板倉選手のいい守備がクローズアップされました。個人としてはどう捉えていますか? もちろん個人的なコンディションの良さもありましたし、実際に体が動いていたのもあります。ただ、やはり周りがあっての自分だとも思っています。周りのポジショニングの良さがあるから思い切って出ていけたり、勝負できたりするシーンが多かった。 あとは特に奪われた後のところは自分だけではなく前の選手の切り替えも速いので、そこは後ろもついていかないといけないなという思いでやっていました。そう考えると、自分ありきのパフォーマンスではなく、周りの選手のポジショニングやサポートがあったからこそ、そう見えたのかなという思いがありますね。 ――カタールW杯のときに比べて守備陣の中では上の年齢になってきました。年齢を重ねてきたからこその自覚も感じていますか? 前回の最終予選では上の選手たちに引っ張ってもらっていたなというのを感じていますし、そういう人たちがいる安心感というか、そういう人たちがどっしりしていたなというのはいなくなって感じた部分でもあります。だから、そこの役割を担わないといけない。メンタル的にもそうですし、パフォーマンスでもそうです。そういうポジションに自分が入ってきている自覚はあります。やはり後ろにはどっしりしている選手が常にいないといけない。もちろん個人で守れるようなパフォーマンス的なところもそうですけど、いるからこその安心感というのをもっと出せるようになっていかないといけないと思っています。 今はいい意味で代表の目指しているところも高いですし、志も高い。個性の強い選手が集まっているからこそ、矢印がいろいろな方向に行かないようにというのはちょっと意識していますし、同じ方向に矢印が向くようにしていければというのは考えていますね。 ――「みんなの志が高い」という話がありましたが、今の日本代表はW杯優勝を目標に掲げています。そこを目標にしたからこそ、基準が高まった感じはありますか? 本気でそこを目指していますし、本気で優勝できると思っているからこそ、勝っていても納得できないときがあります。そうやって今はみんなが高め合いながらできていますし、ヨーロッパでやっている選手が多い中で、絶対に個人のレベルアップをしないといけないとみんなが思っていると思います。そういった意味では、やはり志は高いと思いますね。 もちろん、その中でも結局はチームだとも思っています。所属クラブと違って毎回、毎回メンバーも変われば、そんなに準備する期間もない中、試合をしないといけない。そういう意味では、みんながそこでぶれないようにしないといけないなと思っています。 ――カタールW杯後、チームや個人としてはどんな変化を感じていますか? カタールが終わってから、今この段階でも個人的に代表に対する心境みたいなものがすごく変わったと思います。そこはチームとしてもだいぶ変わっているなと感じています。戦術どうこうではなく、代表に対しての気持ちや代表で結果を残し続けないといけないという集団になってきている。そこは個人もそうですし、チームとしても変わってきたところだと思います。 ――今は誰が出ても変わらずにできる、その選手の特徴を生かしたサッカーができるようになってきたなとも感じます。 それは僕も感じています。やはり誰が出ても個の力がありますし、例えば試合に出ていない選手も常に準備しています。誰が出ても本当にいいパフォーマンスが出せるというか、また違った個性を生かした戦い方ができるというのは強みだと思いますね。ただ、本当に強い国やクラブを見たらどこもそうなんです。どのチームを見ても、スタメンをガラッと変えてもいい試合をして結果も出す。そこはここから優勝を目指す上で必要になってくる部分ですね。 ――W杯最終予選中というのもありますが、次のW杯を見据えてという点で、どのような積み上げが必要だと思っていますか? 個人の話になりますけど、正直なところ、もう1個、上にステップアップしないといけないという思いがあります。もう1個上のところでちゃんと試合に出ることができれば、個人としてもガラッと変わることができるかなと。結局、これからの2年間の成長が代表の成長に間違いなく関わると思っていて、それはもう自分だけではなく、みんなそういう思いでやっていると思いますし、そこが大事になってくるかなと思います。結局、個で戦えるというのが大前提だと思いますし、そうしないと代表にも入れない。そこはもっとこだわってやりたいと思います。 ――日本代表は11月、最終予選でアウェイでの連戦を行います。今回、DAZNで無料配信が決まり、多くのサポーターが観戦することになると思います。最後にサポーターへのメッセージをお願いします。 ぜひ試合を観てほしいです。サッカー好きに関わらず、誰でも観られるわけなので観てほしいというのが一番の思いです。なおかつ、そこでみんなが日本代表を応援したくなるような結果を出したいなと思っています。やはり自分たちとしては結果にこだわりたいですし、そこに向けて全力でプレーしたいなと思います。応援よろしくお願いします。 インタビュー・文=林遼平