岩堀せりとモデルの仕事「子育てもひと段落。これからは忙しいお母さんでありたいし、求められる限りずっと働いていたい」
みんなが好きならそれでいい。写真チェックはしません。
「モデルとして全盛期の頃は、カメラの前に立つと気持ちのスイッチがバチッと入り、撮られることが最高に気持ちよかったです。でも、当たり前のことですが毎回自分好みの撮影ばかりではなく、好きな世界観のときはテンションが上がる一方で、自分では見慣れないビジュアルでカメラの前に立つことになり、やる気を無くすときも正直ありました。テンションの上下が激しく、つねに気持ちが忙しい。モデルの仕事を通して心は強くなりましたね。もちろん、好みの撮影じゃない場合でも態度には出さないですし、みんなが望んでいるのであればやらないと!という心持ち。みんなが可愛いと言ってくれてるし、いっか!みたいな感じでした。 私がモデルとして気をつけていること……、それは写真を自分でセレクトしないこと。きっと、私が希望を伝えたら、要望を聞いてもらえてしまうことも。でも、それって違うと思うんです。どんな顔でも、どんなポージングでも、誰かがいいと思って選んでくれたのならそれでいい。昔から写真選びを自分でするのはあまり好きではないですね。正直、自分の好きな顔が決まっているから私が選ぶほうがはやいけど、それだとすべて写真が同じ顔になってしまうんじゃないかな。メイクも同じですよね。雑誌はみんなで作っているからこそ、関わってくれたみんなが可愛いと思うものがいいし、責任を持って選んでもらっている一枚のほうが嬉しいですね」
モデル仲間のまゆみん(佐田真由美さん)と一緒に。「『ViVi』、『GLAMOROUS』時代はよく一緒に撮影していて、いまでも仲良しです♥」
2008年に出版された書籍『新・妊婦道』(講談社刊)の撮影で。「お腹が大きくなったタイミングで好きな世界観で撮影した思い出の一枚」
頭の中では実は女優。よりよく“魅せる”ことが私の勤め
「服をどうやったら可愛く見せられるのか。モデルとして一番意識していることです。スタイリストさんに服を着せてもらったあと、さらに鏡を見ながら服の形を自分で整えてカメラの前に立つのが私のルーティーン。普段は自分は着ないような服でも、自分なりにどうやったらステキに見えるかを試行錯誤して。ただ着るのではなく、洋服ができるだけ素敵に見えるように着方を整え、納得いく形で写真に撮られたい。それはもはや趣味の域ですね。結果、可愛いねと褒められることも多かったから、毎回どうやったら服が可愛くきれいに見えるのか、そればかりをずっと考えていました。大前提で服が好きということが大きいのかな。 あと、これはちょっと恥ずかしいんですけど、毎回、用意されたスタイリングをみて、それを着ている架空の人物を想像し、なりきっていました。この服を着ている人はきっと夕暮れの町並みを歩いているだろう、だったらこういう動き方をするかな?みたいな。頭の中は立派な女優。なりきることが好きでしたね。でも、きっと他のモデルさんもそうなんじゃないかな? 服が綺麗に見えるだけでなく、その服を着ている人の生活や動作を雰囲気で見せることを目標に。誰に言うわけでもなかったんですけど。 でもそんなことばっかりやっていると、雑誌が発売されて、写真セレクトに納得いかないこともありました(笑)。こっちが勝手にキャラをイメージしてポージングしているんですが、なんでこれがセレクトされたの!?みたいなこともありました(笑)。 モデルとして譲れなかったことは……んー、『笑って!』と言われるのが若い頃は苦手でした(笑)。言われるたびに『じゃあ面白いことして』と冗談まじりに言ってみたり。自分の笑顔があまり好きではないし、指示されて笑うのが恥ずかしくて仕方ないんです。それでも頑張って笑わせてくれたら気持ちも紛れる。きっと昔はこんな私のこと、みんな怖いって思っていただろうな(笑)。ごめんなさい」