リヤもデカくすりゃより安心じゃない? なぜクルマのブレーキは後輪よりも前輪のほうが大きいのか
<最新技術による進化>
近年の電子制御技術の発達により、従来の機械的な制動力配分に加えて、電子制御による精密な制動力制御が可能となっている。 たとえば、最新のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やESC(横滑り防止装置)は、各輪の回転速度や車両の挙動をミリ秒単位でモニタリングし、最適な制動力を配分する。さらに、回生ブレーキを備えた電気自動車では、モーターによる制動力も加わることで、より効率的な制動が可能となっている。 また、カーボンセラミックブレーキなどの新素材の採用で、より軽量で高性能なブレーキシステムの実現も進んでいる。ただし、これらの先進技術を採用しても、前後の制動力配分の基本的な考え方は変わっていない。 このように、クルマのブレーキシステムは、単に大きければいいというものではない。車両の特性、重量配分、用途、コスト、そしてなにより安全性を総合的に考慮して設計されている。フロントブレーキが大きいのは、これらの要素を最適化した結果なのだ。
琴條孝詩