獲物を罠にはめるクモたちのスゴ技! 色や匂い、捕まったフリほか 身近なクモの仲間にも
「宝石グモ」の派手な見た目はだましのシグナル、アシダカグモやハエトリグモも負けていない
クモの多くは獲物が自身の巣にかかるのを待っているが、獲物が巣にかかるのを運に任せないクモもいる。獲物を安全地帯からおびき出し、罠にかける巧妙な技をもっているクモたちだ。 ギャラリー:獲物を罠にはめるクモたちのスゴ技 写真6点 「まさしく感覚の世界です」とカナダ、ケベック大学モントリオール校の行動生態学者ピエール・オリビエ・モンティグリオ氏は言う。「みなが常に盗み聞きをしたり、合図を送ったり、情報を生み出したり、何らかの方法でその情報を伝えたりしているのです」 クモは外見や匂い、触覚を巧妙に利用し、無脊椎動物をだまして8本の腕の中に誘い込む。
きらめく網を作る
クモの巣は、獲物を捕まえるために美しくある必要はない。しかし、コガネグモ科(Araneidae)コガネグモ属(Argiope)の円形の巣のように、精緻さが獲物を死に至らしめるために重要な役割を果たしているクモの巣もある。 野外でも実験室でも、巣の中心部に白くて太い絹の帯模様が多いほど、獲物が引き寄せられやすいことを科学者たちは発見した。これらの帯は、昆虫が引き寄せられる紫外線を反射すると、オーストラリア、マッコーリー大学の行動生態学者マリエラ・ハーバーシュタイン氏は言う。 クモの巣自体が暗い夜に獲物を引き寄せることも、2017年7月に学術誌「Animal Behaviour」に発表された研究によって明らかになっている。ボロアミグモ属のPsechrus clavisの巣を夜間に調べたところ、絹の糸の色を暗くすると、飛んでくる昆虫があまり引き寄せられなくなることがわかった。暗い環境では、より複雑なクモの巣は、わずかな光を捉えられることが示された。 また、巣の仕掛けにはいろいろなパターンがあり、戦略的に決められることがデータによって示唆されている。「クモの中には装飾を施したあとに、新しい巣を作らなければならない場合、装飾を施さなかったり、多くしたり少なくしたりするクモもいます」と、ドイツ、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの行動生態学者トム・ラッツ氏は言う。 例えば、生息環境に捕食者である鳥が多くいるという合図があった場合、クモは装飾を控えめにすることが明らかになっている。これは巣のデザインがランダムではないことを示している。