豪、M795榴弾とGMLRSを国内製造へ 武器備蓄強化と輸出が目的
Kirsty Needham [シドニー 30日 ロイター] - オーストラリアは、フランスのタレスと組んで榴弾砲に使われるM795榴弾の国内生産に乗り出すことと、米ロッキード・マーチンと提携して誘導多連装ロケットシステム「GMLRS」の国内製造を始めることを発表した。武器備蓄を強化するとともに、米国を含めた安全保障の同盟国に輸出する。 オーストラリアのコンロイ国防相は30日のキャンベラのナショナル・プレス・クラブでの講演で、ミサイル防衛と長距離攻撃能力を強化するとして「なぜわが国はミサイルを増やす必要があるのか。米国と中国の戦略的競争が、オーストラリアの安全保障環境を主に特色づけている」と言及。その上で「潜在的な敵対国に対してオーストラリアへの敵対行為は成功せず、衝突が長期化した場合には継続できなくなることを示さなければならない」と訴えた。 中国は9月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い、1万1000キロ超離れたオーストラリア北東部の太平洋にミサイルが着弾した。 コンロイ氏は中国の発射実験に直接触れなかったものの「ミサイルはいつ発射されるか、実際に発射されるかどうかにかかわらず、昼夜を問わず脅威となる」と語った。 オーストラリアはこれまでに、今後10年間でミサイルの購入とミサイル防衛に740億豪ドル(490億米ドル)を投じると発表している。うち210億豪ドルが国内製造態勢の整備に充てられる。 オーストラリアはGMLRSの国内生産を構築するために3億1600万豪ドルを投じ、2029年以降に輸出用の迅速配備型の地対地兵器を生産する。コンロイ氏はGMLRSの生産能力が年間4000基となり、これは現在の世界生産の4分の1に相当すると説明した。 一方、直径155ミリのM795榴弾については、ビクトリア州ベナラにあるオーストラリア政府所有の軍需施設で製造できるようにする。28年に生産を開始し、生産能力を年間10万発へ引き上げる計画だ。