大勢で観ると逆に楽しい近年の「ツッコミどころしかない」映画 「1秒たりとも正気ではない」
もはや「人体実験級」の衝撃作
●『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~!恋する汁なしタンタンメン!!の巻』 石ノ森章太郎さんが原作を手掛けた特撮番組『ロボコン』は、映画として令和にまさかの復活を果たしました。2020年の劇場公開時に「1秒たりとも正気ではない映像災害」「映像を使った人間の脳への人体実験」「ずっと具合悪いときに見る夢」など、凄まじい感想がSNSで出た本編は、開始数秒の「ヘヴィメタルな音楽がガンガン鳴り鳴り響くなか、中華料理屋の店員たちが激しくヘッドバンギングをしながら料理を作る」という場面から、すでに異常です。 とはいえ、タイトル通りに、「汁なしタンタン麺が恋をする」のは、まだまともな設定でした。そのタンタン麺が赤ちゃん言葉(CV:鈴村健一)で話しかけながらチンゲンサイで「ロボコン」のおっぱいを吸おうとし、さらにタンタン麺の成長物語へとスライドしていく展開は、もはやツッコむスキもないと思えるほどのスピーディーさで頭がクラクラしてきます。 脚本を手がけたのは、テレビアニメ『名探偵コナン』でぶっ飛んだ回が「浦沢脚本」として話題になる浦沢義雄さんで、過去には特撮番組『ペットントン』でシューマイとチャーハンが結婚式をあげる話も世に送り出していました。今回のような内容になったのは、白倉伸一郎プロデューサーがロボコンが失敗してしまう具体例として「出前のタンタンメンの汁をこぼして、汁なしタンタンメンにしちゃうとか……」をあげたところ、浦沢氏が「あ、それいいね」と気に入ったことが理由だそうです。 それでも、コロナ禍の初期でも感染症対策をして作り上げた経緯や、ヒロインのロボット役の土屋希乃さんの変顔のしすぎで撮影後に筋肉痛になるほどの奮闘など、マジメに評価されるべきポイントもあります。上映時間は22分と短めなので、なんとか正気を保ったまま観終えることができるでしょう。なお、劇場公開時には短編アニメ『スプリンパン まえへすすもう!』も(中編アニメ『人体のサバイバル!』も)同時上映されており、こちらはたった5分に全てが理解できない衝撃が詰まっています。
ヒナタカ